ベッキーの憂鬱 公演情報 ぬいぐるみハンター「ベッキーの憂鬱 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    冒頭の一文に他意はありません
     女子高生がいっぱいでした。
     彼女達のように夏休みを利用して観に来る演劇ビギナーの学生客を強く意識して作られたのか、本作は彼女達が日々を過ごしている学校を舞台にした「学園ミュージカルコメディー」ともいうべき取っつきやすくて娯楽性に満ちた一作でしたが、女子高生にはチョイきつめの下ネタやチョイむごめのブラックジョークを含む大半がアベレージ超えのギャグがテンポよく飛び交い、お笑い好きなバルブは初見の劇団ながら楽しく鑑賞。
     バルブのような成人男子向けのサービスなのか、スタイル抜群の竹田有希子さん扮するドSの生徒会長がミニスカからスラリと伸びた黒スト美脚を見せつけるだけにとどまらず、ブラウスを脱いでヒョウ柄ビスチェに覆われた胸の谷間とピアスが淫らなおヘソをさらすシーンもあって、これには度肝を抜かれたものの、恥ずかしがって目を背けても勿体ないだけなのでしっかりガン見させていただきました。

    ネタバレBOX

     前半は、ホームルーム、部活、保健室、校庭のウサギ小屋など、学校ならではのシチュエーションを舞台にした小スケッチの数珠つなぎといった趣。クスクス笑える小ギャグはあっても大笑いには至らず、飢餓感が募ってくるが、後半に至ると前半の小ネタ群が有機的に絡みあって物語がうねり出し、クラスメートが一堂に会してのグルーヴ感あふれるドタバタ劇に。不良として恐れられていた男生徒が実はイイ奴だったと判明するくだりなど爆笑を誘うシーンが相次ぐなかクラスメートはある共同作業を通じて結束を強めていき、
    みんなで目的を遂げて高揚感がMAXに達すると、やがてちょっとホロリなラストシーンを迎える。
     ラストシーンは冒頭シーンの反復で、女生徒達が天を仰いでベッキーに呼びかけながら“スローなパラパラ”とも言うべき奇妙な踊りを踊るのだが、冒頭で演じられた際には意味不明だったこのシーンは“ベッキーがどうなったのか”が明らかになったあと最終盤で再度演じられることで最初に演じられた時には喚起されることのなかった切なさを呼び起こし、滅多に緩まないバルブの涙腺もユルユルに。女優達の憂わしげな表情、夕刻を思わせる黄味がかった照明、天に向かって放たれる詩的なフレーズ……などなど色んな要素が結び合って琴線をふるわせてくるこのシーンを生み出すことが出来たのは池亀三太氏の類稀なる演出力の賜物と言えるだろう。
     この劇団は演出家も凄けりゃ役者も凄い。
     ぬいぐるみビギナーであるバルブの目をとりわけ惹いたのは「怪優」とも称される神戸アキコ。彼女の持つ華、そして求心力はブレイク前夜のワハハ本舗における久本雅美を彷彿させる。
     かてて加えて、安心して見ていられるその演技。
     彼女の安定度抜群の演技のお陰で、いささか狂躁的に過ぎるこの劇が地に足のついたものになっていた。

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    2013/08/10 23:26

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