満足度★★★★★
原作の凄さと脚色の巧みさ。安井順平さん小野ゆり子さん好演!
痛い。
痛すぎる…。
またまた自分を舞台で見せつけられてるようで…痛いです。
こういうことを、ここまで端的にリアルに深く描いた作品は、ジャンル、媒体に関係なく初めてで、投影しすぎて、泣けました。
観客の人達は、どうしようもない変な人のデフォルメされたフィクション、悲喜劇、とか思うのでしょうか。
原作が「ドストエフスキーの」というから、ある程度当然難解を予想していましたがそんなことはなくて。
ネットで原作のあらすじを探して読むと、時代描写の違いはあれどほぼ舞台通りの内容が書いてある。
1864年の作品が現代でも通用する、原作の凄さと脚色の巧みさ。
これだけの話を、終始笑わせながら軽妙に引っ張っていく。
話は、40歳になって、社会を拒絶、地下室にこもることを決めた中年男の物語。
男は、ネット中継のカメラに向かって、これまで一番心残りだった女との話を語り始めた。
安井さんが、舞台に向かって日常会話のように話し始める。
そして中継を始めると、舞台奥のカーテンには、動画に対する視聴者の書き込みの文字がリアルタイムで映し出される。
この動画試聴者の書き込みのアイディアが秀逸。
舞台上の変化にいちいち突っ込まれるのが面白い。
(今回は終盤カーテン閉め忘れ?で、一部の文字は読めませんでしたが…)
安井さんもイキウメでは、理論派の役を一手に引き受け、SF的な解析・説明をすることが多い。
今回も理屈をこねるけれど、それよりも一歩も二歩も踏み込んで、体裁や理屈を超えた、非常にカッコ悪くてみっともない、本音・本質を演じる。
競演の小野さんは、チラシからはもっと脇役かと思いきや、とっても重要で魅力的な役を、実に生き生きと演じていて印象的でした。
(NODA・MAP『南へ』や、柿喰う客・女体シェークスピア002『絶頂マクベス』出演、気づきませんでした。そしてなんと大森南朋さん夫人!)