WHITE ALI.CE 公演情報 電脳シロアリ・プロジェクト「WHITE ALI.CE」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    完全に勉強不足
     いくら夢の中の話とはいえ、シナリオの論理展開に破綻が多すぎる。夢なら夢で完全にその論理で押すべきだろう。

    ネタバレBOX

     ドッジソンは数学者だから、”Alice’s Adventures in Wonderland”で用いられているナンセンスにもそのベースに数学の綿密な論理的思考がある。その上でのナンセンスだから、全体のバランスが取れ、エッジも効いた作品になっているのである。話の展開でも、兎穴に落ちて以降のアリスは、体が延び縮みした上、涙の海で溺れかけたりしてアイデンティティーが崩壊する。その後、芋虫から“Who are you?”と問われる。これほど恐ろしいWho are you? の表現は寡聞にして他に知らない。当にアイデンティティーがひっくり返る、非常にシリアスな体験を経た上でチェシャ猫に会う。マッドパーティー参加は更にその後なのである。このような筋運びの順序も無論計算されたものである。 
     自分は、フランス語で「不思議の国のアリス」を読むまで、この作品がこれ程面白いと思ったことはなかった。因みに、初めてこの作品を読んだのは小学校3,4年の頃で全然面白さが分からなかった。言語芸術としても英語とフランス語は、文法構造も単語もかなり近い。それに比して日本語と英語の隔たりは甚大である。脚本を書いた人は、ヨーロッパの言語でこの作品を読んでいないのではないか?
     マッドパーティー参加者のキャラクターについてもイメージの読みが余りに浅い。そもそも、帽子屋が何故このパーティーの参加資格を持つか? 考えているのだろうか? 三月兎は? ネムリネズミは? そしてアリスは? 無論、参加者総てが狂っているのだ。帽子屋は水銀中毒、三月兎は、繁殖期の♂、眠り鼠は、冬眠から完全に醒めきらぬ状態、アリスは、アイデンティティー崩壊による虚脱状態の上にチェシャ猫の実見によるショック等々。
     翻案するのも、元ネタを壊すのも自由である。然し、読み込んでから壊すべきだ。勉強不足も甚だしい。
     舞台美術は合格、アクションは、まだまだである、あれだけアクションシーンを入れるのであれば、難易度の高いものにして欲しい。演技にもとり立ててみるべき物は無かった。ごく普通である。

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    2013/08/03 01:45

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