満足度★★★
謎めいたラスト
20分の休憩込みで2時間弱に短縮されたヴァージョンによる上演で、歌唱力だけでなく演技力も楽しめる演出でした。
中央には沢山のぬいぐるみが置かれたベッドがあり、上手にソファー、下手にクローゼットが設置された舞台で全てのシーンが演じられる形で、序曲は演奏されず、雷が鳴り響く中でパジャマ姿のタミーノがベッドの中にいるところから始まり、所々をカットしながら物語が展開しました。
カットされた部分がフォローされていない構成だったので、このオペラを初めて観る人には物語が分かり難くなっていました。
パパゲーノの『おいらは鳥刺し』や、夜の女王の『復讐の炎は地獄のように我が心に燃え』といった有名なアリアがカットされていたのが残念でした。
演出としては途中までは比較的オーソドックスに感じられましたが、終わり方が謎めいていました。最後の場面は単純な大団円とはならずに、パミーナが、冒頭でタミーノを襲った蛇と同じ衣装を着て現れ、夜の女王のみならずザラストロの陣営達も倒れていく演出となっていました。おそらく子供が恐怖心や親の抑圧を克服するということを表現したのだと思いますが、意図が分かり難かったです。
舞台奥にスクリーンがあり、映像を映したり歌手達による影絵を見せていましたが、あまり効果を感じませんでした。
劇場が小さく、ピアノ伴奏だったこともあって、歌に無理がなく聞き取りやすかったです。演技も期待以上に楽しめましたが、パパゲーナが正体を明かす前のお婆さんの振りが全然そう見えなかったのが残念でした。