満足度★★★★★
オイスターズ「日本語私辞典」観ました
この戯曲は、もともと平塚さんが教えている専門学校での公演用に書かれ、昨年の東京・若手演出家コンクールで上演された物。名古屋でも観た人が少ない代物です(私も、ツイッターでタイトルしか知りませんでした)。
少年王者舘やままごとを連想させるテキスト、演出。
言葉と現象の連環を役者を通して体現。一言一句間違えられず、アドリブも絶対使えない、とんでもない緊張感。
世界は交換可能な「ことば」で認識され、「ことば」とともに変わり、消えていく。解釈次第で取り戻した物(それは必ずしも以前と同一ではない)も、いずれは失われる運命。
ことばを弄ぶことの恐ろしさ。
宗教感すら感じさせるラストへの展開に、個人視点からの「世界の死」のイメージが。
「豆」とは違う舌触りの、言語表現の根源に着目した普遍性の高い舞台。まさに、舞台表現を観せる戯曲。
年末には愛知県文化振興事業団によって、平塚さんの言語感覚が冴え渡る戯曲「豆」が、京都・ごまのはえさん演出で上演されますが、ごまさんには「豆」より、むしろこちらを演出してほしい気もしました。