Moonlight Rambler 公演情報 トウキョウ演劇倶楽部(活動終了)「Moonlight Rambler」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    前回より大分進歩
     導入部、三日月の浮かぶ空を背景にデュパンの推理力に関する対話が為されるが、このシーン、「緋色の研究」でシャーロック・ホームズとワトソンとの出会いを彷彿とさせる。但し、「緋色の研究」ほど徹底してデュパンの推理力を言語化しているわけでは無い。その代わり、月が、それを代弁している。

    ネタバレBOX

     三日月の意味する所は成長、活発さや旺盛な好奇心の象徴である。月は、無論、形を変えてゆく。そして、その各々の形に象徴的な意味がある。ラストやや黄味がかったスーパームーンが強調されるが、犯人と目され、国際的に追われるレオナルドがその無実を明かされ、親友道化師、ベルナールの仕掛けた罠や恋人親子の殺害にも拘わらず、ブルームーンからの変化で、小さい頃生き別れになった兄、デュパンとの再会を通して人の温かさへの希望を込めようとしたと読める。因みに満月の象徴しているものは、達成、成就だ。 劇中、月の変容と音響、照明が交感し合う流れも楽しんで欲しい。それらが、アクションと共にこの作品のアトモスフィアを作り出しているからである。
     演出面での、アトモスフィア作りを無視してしまうと、作品の持っている雰囲気が理解できず、退屈に感じるだろうが、この情緒を愉しむことができれば、「モルグ街の殺人」を下敷きにしていることは、さほど不自然とは感じないで済むのではなかろうか。
     冒頭、パリでのアクションシーンが展開する。宝石店を襲った直後の犯人達にデュパンが遭遇するシーンだ。が、この時、パリ警視庁が介入し、デュパンを拘束した為、主犯には逃げられてしまう。以来、デュパンと介入時指揮を執っていたランス警部とは仲が悪い。
     物語の中心は、東京で展開する。パリで宝石を奪ったピエロ姿の主犯が逃れ、マカオで現金強奪、その後、東京にピエロスタイルの殺人犯が現れるに及んだことから、東京に犯人が飛んだと判断したフランスから警視総監に依頼されたデュパンとランス警部が、インターポールとして出向いて来た。日本側との共同捜査で真犯人の目ぼしはついたが、真犯人は、レオナルドを罠にかけ真犯人に仕立て上げていた。
     犯罪捜査の過程で、マカオの現金強奪はリーとベルナールの仕組んだ自作自演と判明、親子殺人と犯人デッチ上げの動機は、ベルナールが、マカオの犯罪組織ボス、リーにレオナルドを引き合わせて以来、リーに強烈な片想を抱かせるに至ったレオナルドへの嫉妬であった。
     アクションシーンで活躍するアクター達は、アクションのプロチームなので、動きは頗る良い。主役には、もう少しアクションの訓練を積んで欲しい所である。
     脚本は、前回より大分進歩した。前回の不手際を多くの点で改善している。更なる発展を望む。

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    2013/07/23 01:42

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