象 公演情報 新国立劇場「」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    木村さんの台詞を届ける力に驚嘆する
    木村了さんは、ドラマで凄い役者さんが出てきたと注目してから、何度か舞台も拝見しましたが、今日ほど、彼が役者として、存在してくれていることの喜びを噛み締めた日はありません。

    これだけ、難解な不条理劇の台詞が、客席で、耳に頭に自然に浸透する体験は、今まで一度もありませんでした。

    もう55年以上、ありとあらゆる芝居を観て来ましたが、彼ほど、全てを兼ね備えた役者さんを観るのは、初めてかもしれません。木村さんの演じる、ドリアン・グレイとかいつか観てみたいなあ!

    不条理劇にはそぐわない観客が多数いたせいで、舞台の世界観を邪魔されずに味わうのが難儀でしたが、木村さんや神野さん、奥菜さんなどの役者陣の力量に助けられ、出色の不条理劇が完成したと思いました。

    ネタバレBOX

    舞台装置がとても秀逸。開幕前は違和感を感じた、何百枚はあろうかという衣服の山が、舞台の内容に実にピッタリで、大変衝撃的でした。

    人物の出はけを、床の衣服に溶け込ませることで、様々な意味合いを表出し、たとえば、人物が床に倒れこむと、服と同化して、存在が見えなくなり、まるで、舞台上にいないかのように見せる手腕も見事でした。

    別役作品の必須アイテムの一つの電柱に替り、今回登場するのは、点滴スタンド。これが光を受けると、十字架のようにも見えたりします。奥菜さんの看護婦が赤い帽子をこのスタンドに掛けるのは、キリストの受難を表現しているのでしょうか?

    震災の後で、この舞台を観ると、あの服の山は、瓦礫のようにも見えました。

    残念なのは、他の役者さんの台詞がいつも明瞭に聞き取れる中で、大杉さんの台詞だけが、何度も聞き取れない点が多々あったことでした。

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    2013/07/17 22:11

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