満足度★★★
歌舞伎初鑑賞に適した公演
初心者でも楽しめるように、上演前の解説やしっかりした作りのパンフレットが用意されていて、70分程度の上演時間も丁度良い感じでした。
『紅葉狩』の上演の前にまだ十代の中村隼人さんと中村虎之介さんによる30分間の解説があり、親しみやすい語り口ながらしっかりとした内容で、分かり易かったです。何もセットがない状態で回り舞台やセリを動かすのを見ることが出来て良かったです。
平維茂を一緒に紅葉を観ましょうと引き止め、酒を振る舞い、踊りを舞うた更科姫が実は人を食う鬼だったという物語で、踊りも立ち回りもユーモラスなシーンもある、、盛り沢山な内容でした(悲しいシーンはありませんでした)。紅葉が散り、薄暗い中を雷が光る中の立ち回りが美しかったです。
竹本・長唄・常磐津の掛け合いに迫力があり、引き込まれました。
更科姫を演じた中村扇雀さんの曲芸的な扇の扱いや、姫と鬼の声色の使い分けが良かったです。
山神を演じた虎之介さんは台詞に関してはこれからだと思いましたが、若者らしくバネが利いていてリズム感の良い、しなやかな踊りが印象に残りました。
学校の行事として高校生が団体で来ていて、始まるまではとても騒々しく鑑賞条件の悪さを覚悟していましたが、開演すると最後まで集中して静かだったのが意外でした。