帝国の建設者 公演情報 アンサンブル室町「帝国の建設者」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    演劇と音楽、それぞれの表現に惹かれつつも
    演劇にも音楽にも世界があり、
    それぞれに惹かれるものがあって見入ったのですが・・・。

    二つの秀逸さがつながり、
    一体感をなすには何かが足りない感じがしました

    ネタバレBOX

    琵琶や笙、チェンバロなどの楽器は、
    単体でも生の音を聴く機会があまりない楽器なので、
    最初、それらの奏でる音には多少違和感もあったのですが、
    効果音としては次第に機能をしてきて。

    シーンやその間を満たす音楽になると、
    ちょっときれないようなばらつきを感じたりもしたのですが、
    終盤の演奏には、
    ひとつずつの音のビビッドさが組み上げる、
    どこか達観した見晴らしのようなものを感じることができて。
    これまでに、あまり体験したことのない感覚に浸ることが出来ました。

    また、役者達が組み上げる物語も、
    最初は世界観がわからず、ただ受け取るだけでしたが、
    歩みを進めるにしたがって、
    様々な暗喩として受け取ることができて、
    次第にその行く先を追いかける気持ちが生まれて・・・。
    物語の骨格がくっきりと演じられていくから、
    その分受け入れる間口も広く感じられる。

    登るごとに次第にタイトな生活となっていくそのありようは
    時の流れに様々なものを滅失させ、
    次第に可能性を狭め過去を捨てていく
    人間の在り様にも見えるし、
    芸術や学問の洗練の過程にも、
    さらには、終演後ある方から伺ったが如く
    神の領域にまで手をかける人間のありようにも思える。
    隣人や包帯だらけのものの存在も、
    描かれるものの間口を大きく広げ
    その世界に奥行きを与え、
    観る側の連想により深い感覚を導き出して。

    役者達がしっかりと作りこまれた演技で
    ひとつずつの時間を形骸化させることなく、
    ロールたちが生きる肌触りを観る側に伝えているから、
    観る側の連想が朽ちることなく
    実感として伝わってくる・・・。

    観終わって、舞台に描かれるものに、
    完全にフォーカスを定めることが出来たとは思えないのですが、
    でも、舞台の余韻はしっかりと残り、
    世界とともに過ごした時間は
    観る側の内でさらに様々に広がっていったことでした。

    ただ・・・・・、
    音楽と演劇の相乗効果というのは
    正直なところ
    あまり感じられなかった気がします。
    二つの世界がそれぞれの平面で存在していて
    よしんば重なり合っても
    個々に良いものの足し算以上に広がらなかった感じがする。

    二つの表現が十分に臍を切らずに組み合わされたというか、
    羅列されたというか、
    それぞれの秀逸を別の次元に組み上げるための何かが
    この舞台には大きく欠けているような印象があり、
    とてももったいなく思えたことでした。

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    2013/06/14 17:42

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