65歳からの風営法 公演情報 笑の内閣「65歳からの風営法」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    台詞の鋭さと作りのユルさが混在
    朝まで飲んでも、朝まで映画観ても、朝までデートしてもいいけど
    “朝まで踊ってはいけない”のが今の風営法だ。
    「自分にとってどうでもいい事でも、他人には必要なこともある」という
    これは想像力の問題だという作者の気概が感じられる舞台だった。
    台詞の鋭さと作りの微妙なユルさが混在するところが面白い。
    国会議員と弁護士が壇上に並んだアフタートークも充実。

    ネタバレBOX

    いかにも日頃芝居など上演しない、体育館の舞台みたいなステージを
    傾斜のない客席から少し見上げる感じ。
    お堅いスーツ姿が多いのもいつもの小劇場とはまるで違った雰囲気だ。

    風営法の内容と、それがいかに現実と乖離しているかがよくわかる劇になっている。
    巡査とダンス好きな一般人、それにこの手の案件に詳しい弁護士が登場して
    それぞれの立場からの意見が出揃ってバランスがよい。
    説明が必要なせいもあって冒頭少しテンポが甘い気がしたが、
    鴨川署の巡査部長(丸山交通公園)が出て来た辺りから会話に弾みがついた。

    今回の公演は、時間的に削らざるを得なかった事情もあるらしいが
    ラップで説法する坊主の場面などもっと見たかったなあと思う。
    摘発を免れるための苦肉の策として、妹のカレシである坊主が
    午前1時、クラブで“一遍上人の生涯を語る”のをみんなが床に座って聴くって
    めちゃめちゃおかしいやん。
    その反面、クラブで踊っているアンサンブルの演出などは
    もう少し工夫があってもよかったのではないか。
    メインの会話のバックで、無音でゆらゆら踊り続けるというのはちょっと…。

    1945年に風営法が出来た頃とは事情も時代も大きく変わり、
    ダンスホールが売買春の温床となることなどあまり考えられない。
    歴史的な流れを見れば、「社交ダンス」や「ビリヤード」は風営法の対象から外されてきた。
    なぜダンスはいけないのか、“青少年の健全な育成に障害を及ぼす”とみなされるらしい。
    だったら学校でダンスなんか必修にするなよって話。

    アフタートークに社民党の福島みずほ氏や弁護士など4人が居並び
    司会を務める作・演出の高間響さんが心細気なのでちょっと笑っちゃった。
    皆さんさすがの弁舌で、風営法からダンスを削除するだけでなく
    その先の業界のあり方まできちんと考えないといけないというのは説得力あり。
    規制する国に対抗して“個人の自由”を声高に振りかざすだけでは
    踊らない普通の人々の指示が得られない。
    騒音やドラッグ取引の温床にならないためのルールを作って
    業界として信頼される努力をしなければ、元に戻ってしまうだろうと思った。

    笑の内閣、そのテーマの選び方に独特の批判精神とバランス感覚がある。
    無関心でいると、知らないうちに足元まで押し寄せて来るよ…という
    その危機感の持ち方に正常な市民の感性を感じる。

    「65歳からの…」というタイトルは、風営法が出来て65年たったからだろう。
    興味をそそる上手いタイトルだと思う。
    12月にアゴラで「ツレがウヨになりまして」再演ツアーをするそうなので
    ぜひこれも観にいきたいと思う。

    高間氏が再三呼びかけていたけれど、劇団にはお金がないんだって。
    結婚3日目にも関わらず彼の幸せオーラが薄く見えたのは経済不安だったか(笑)

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    2013/06/13 12:24

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