兄よ、宇宙へ帰れ。【ご来場ありがとうございました!】 公演情報 バジリコFバジオ「兄よ、宇宙へ帰れ。【ご来場ありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    コントの言葉選びが巧み/もっと人形の活躍が観たかった
     劇団活動を10年続けてきた劇作・演出家の男性と、引きこもりの兄がいる女性を軸に、2つの物語が交わって行きました。バックステージものや劇団の内部事情を暴露するタイプのお芝居は苦手なのですが、それだけに終わらなかったでホっとしました。

     劇中の会話は短いコントのようなやりとりが多く、つっこみが巧みで、ナンセンスギャグも冴えています。折り込みチラシで作・演出の佐々木充郭さんがコントユニット親族代表の新作を手掛けられると知り、納得でした。

     オリジナルの人形が俳優同然に活躍するのを期待していたんですが、今作はそうでもなかったですね。たまたま10周年記念アフターイベントのある回だったので、たくさんの人形を拝見できて良かったです。ロビーでオリジナルの人形を販売していることについて、前説で「里子に出します」と言っていたのに和みました。人形への一方ならぬ愛情を感じました。

    ネタバレBOX

     大勢の役者さんが上半身の衣裳を黒色で揃えて、不特定多数の誰かを演じる場面では、街で聴こえる声や目に入る広告を声に出して、風景を描写します。セリフにする言葉や単語を選ぶセンスがいいなと思いました。ただ、ストーリーは全体的に盛り込みすぎの感がありました。例えば兄が宇宙人で(?)超能力があるという設定に、特に必要性は感じられなかったです。

     劇作・演出家の砂城は引きこもりの同級生に即興演劇をさせて、失われた青春を取り戻させます。演劇をやって心が癒されることにリアリティーが感じられました。私自身、演劇というフィクションを自分のことのように疑似体験することで、自分が大きく変化してきたと実感しているので、とても微笑ましく思いました。 

     劇団解散を決めた砂城の過去作品にかかわっていたドードーなどの動物の人形が登場しました。砂城が演劇から離れたせいで動物たちは消滅しそうになるのですが、彼が演劇の力を信じて再び創作を始めると、復活します。既に存在しない絶滅動物を、想像力や夢の象徴として表現するのがいいですね。ただ、わざわざ人形を出さなくても、たとえば役者さんが「私はドードーだ」と名乗って演技しても成立し得たのではないでしょうか…。人形でなければ生み出せない演劇的な効果をもっと味わいたかったです。人形自体がとても良かったので、もったいないな~と思いました。

     終演後のイベントは「紅白人形歌合戦」でした。キモカワな風貌の人形はそれぞれに個性的で、有名人の特徴もよくとらえています。前説でも異様な迫力だった美輪明宏さんの人形が再登場し、昨年末の紅白で話題になった「ヨイトマケの唄」を歌いました。散々デフォルメしてるけど(笑)、とても似てましたね。特にセリフは強烈!(笑)

     誰が美輪さんの声を担当してるのか知りたくなり、イベント終了後に顔を出した役者さんたちを凝視したところ、三輪人形を持っていたのは引きこもりの兄役の武田諭さんでした。そして彼の頬にマイクを発見!人形操作だけじゃなくセリフも歌も武田さんだったんですね…あの挙動不審でちょっとキュートな兄と、とんでもないキワモノ(として表現された)美輪さんの両方を演じていたとは…!武田さん、素敵です。

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    2013/06/10 18:23

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