満足度★★
強過ぎて孤立する女
イプセンの名作を大きなアレンジは加えずに、比較的ストレートに描いていましたが、会場のサイズに合っていない演技・演出に感じられました。
簡単に言ってしまえば男女関係を巡るメロドラマのような物語ですが、単なる恋愛話にとどまらず、それぞれのエゴがぶつかったり、すれ違ったりしながら破滅的な結末を迎える様子が丹念に描かれていて興味深かったです。
基本的にはオーソドックスな会話劇のスタイルでありながら、各幕の始まりを役者が演技中に告げたり、そのシーンに登場しない人物をステージ上に佇んでいたり、メタファーとして小道具が使われたりと、単なるリアリズムの芝居にしない工夫が施されていましたが、効果よりも寧ろあざとさが感じられて残念でした。
客席の間を通って出入りする時に、意図的な演出としてではなく客席まで照らされるのが、現実に引き戻される様で気になりました。
感情を表現する仕草がわざとらしく感じられ、シリアスに演じているのに滑稽に見える箇所が多く、物語の世界に入り込み難かったです。
床・壁・天井がコンクリートの狭い空間にしては全体的に声のヴォリュームが大き過ぎていて、うるさく感じて疲れました。特にイェルゲン役を演じた吉田テツタさんの必然性の感じられない大声が気になりました。
自由を求めて人と衝突してしまうヘッダを落ち着いた演技で魅力的に表現し、いかにも海外戯曲的な台詞回しも自然に聞かせた、渋谷はるかさんが素晴らしかったです。