ひろさきのあゆみ~一人芝居版 公演情報 渡辺源四郎商店「ひろさきのあゆみ~一人芝居版」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    熱演
     初めの一歩の延長として人生の歩みがある、という発見を通して綴られる一人の女、あゆみの歩みと弘前という街の歩みを当然重ねてタイトルがつけられているのかと思いきや、独り芝居で其処までの延長性を求めることは、酷だったようだ。あゆみ誕生から死までの誰にでも起こる典型的なエピソードを“歩く”という行為の受け渡しに纏めて書かれていた本来の脚本を、独り芝居の無援と孤立という形で舞台化し、其処に母からの視点を照射することでメタレベルの表現に昇華した。

    ネタバレBOX

     シナリオに幾つものバージョンがあり、其々、演出の視点も異なるのだが、原作では、複数の役者が、上手から下手へ歩くという行為を通して、バトンを次の演者に渡し、その演者があゆみの次のエピソードを紡いで行く、という方法を採ったらしい。だが、そのコンセプトを独り芝居で演じることには、矢張り無理があったように思う。その分、母の視点から照らし出されたあゆみの姿は痛烈である。「お母さん、私、頑張ったよね」と問うあゆみの科白は秀逸だ。然し、ドラマらしいドラマツルギーが成立するのは、この場面だけと言ってよいほど、地味な展開が延々と続くので気の短い観客には、飽きられる危険性もあることも承知しておく方が良いだろう。女優は、難しい表現を熱演し、好感が持てた。

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    2013/05/04 11:29

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