期待度♪♪♪♪♪
10年前の思い+現在の思い
初演は2004年の12月、目白アイピットでした。
僕の書いた台本としては、3本目のものです。
頑固オヤジの不器用な優しさみたいなものに憧れていて、それを取り巻く生活感や、時代みたいなものの普遍性を見つめてみたくて書いた気がします。
時代が昭和から平成に変わったかと思ったら、20世紀が終わって21世紀が始まってしまうという、時代のうねりみたいなものやメモリアルみたいなものが全然身体に染み込まなかったのが2004年くらいだったかもしれません。
おかげさまで初演の「ファミリーナ」はアイピットがぎゅうぎゅう詰めになるほどお客様が来てくださいました。
それからおよそ10年。
僕の人生も大きく風にゆすぶられた10年でした。仕事でも家庭でも、大ピンチが続き、挙句の果てには大切な人を失うことを知りました。知らなくて済むものなら一生知らないまま過ごしたいと思い、それが脚本や演劇の糧になんて絶対にしたくないと思いました。それでも時間というものは不思議なもので、ゆっくりと怒りや悲しみを別のものに変えてしまう。そしてそのことを知る術もなかった10年前の僕がそのことを描いていたことを思い出しました。
ありきたりの生活の素晴らしさ。夢を見ることの大切さ。
夢を叶えたときの不安定さ。夢破れたときに残されたでくのぼうな自分。
10年前に僕が渾身の思いで書いた本を、
今、渾身の思いで演出したいと思います。劇場でお待ちしています。