個性の尊重
※衣装で関わったので、個人的な評価や感想は書かず、作品の概要についてのみ書きます。
別役実さんの童話を脚色して、ピアノ伴奏のみの1時間程度のコンパクトなオペラにした作品で、少々もの悲しい物語の中にお互いの個性を認めようというメッセージが込められていて、アマチュアの市民オペラ団体の活動とマッチした内容でした。
耳も目も足もない主人公「なにもないねこ」を文章では存在するものとして描けるものの舞台では表せないので、原作にはない3匹の猫を登場させ、その陰画として「なにもないねこ」の存在を意識させる構成となっていました。
音楽はいわゆるオペラ的な大仰なものではなく、歌詞が聞き取り易く、口ずさめるようなメロディーで、親しみの持てるものでした。
3方を客席に囲まれ奥は2階建てになっているシンプルなセットは白と黒だけが用いられ、衣装の色もグレー系に限定していて、照明やクライマックスで出てくる物の色が映えていました。