The ONE 公演情報 SOUND THEATRE「The ONE」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    安定の沢城みゆき
    沢城みゆきは可愛いなあ( ´ー`)

    というのは単なる自分の趣味なので置いておいて「声優界、演劇界でもあれほど真面目で練習熱心な娘はいない」と太鼓判の沢城さんが選んだ朗読劇、という事である程度の確信は持っていたものの
    ・主役の藤岡さん知らなーい(沢城さん、平田さんは自分の中ではめっちゃ有名人)
    ・ひさびさの生伴奏付き朗読劇
    という事もあり、、、

    演奏が始まりそれにのせて藤岡さん、平田さん、沢城さんの3人朗読が始まったけど、序盤演奏が声を食ってしまっていた(音が大きくて声が聞き取りきれない)部分があり、「これがまさか最後まで続くのか!?(集中どころか舞台として成立しないΣ(゚Д゚」と不安がよぎったんですが、結局このような事態は冒頭と中盤のほんの数分の演奏盛り上がり部分だけで他はちゃんと演技に集中できるぐらいのほどよい演奏でした。

    で、作品として
    ・朗読劇という事で声のプロフェッショナルの2人はもちろん主役の藤岡さんもかなりの演じよう、序盤でこの物語は泣き話ではないのだろうと思ってましたけど、終盤かなり泣き入りました(落とし方が非常に良い)
    ・東京グローブ座は立地はともかく施設としてかなり立派で音響・ライトなどの効果も良好、バンドが並んだりとスペースがない中簡単なセットに対してうまい照明効果などの使い方をしていて感心
    ・脚本的にもかなり良し(自分、不勉強の為日本史まったく詳しくないんですが、幕末から明治初期、新撰組の時代から倒幕、明治政府樹立後斎藤一が警察隊に入るあたりまで(るろうに剣心でもそうなってるけどこれって史実でしょうか?)を時代背景としたオリジナルストーリー)
    ・日本の話だからと日本の曲にこだわらず、場面に合わせていろいろな演奏がこれまたよし (カルメンとかでかかる曲ってなんだっけ?)
    ・1人剣術士の演舞よし(※最初はとまどったけど、後で「真意」とでもいうものが理解できた(というか自分が思い込んだだけかも知れませんが))
    ・好きな人にはたまらない演者さん達のアフタートークショー付き
    という事で単なるBGM付き朗読劇ではなく、エンターテイメント朗読劇、といって良いレベルの出来かと思いました。

    最初から終幕までめっちゃ演技、お話、演奏、演舞、すべてに集中できて
    充実した時間を過ごせました。

    「サウンドヒストリー」シリーズ、もう何作かやってるらしいけど、次回も絶対行きたいです。

    ネタバレBOX

    (ちょっと物語全部は書き切らないのとオチを言ってしまうとアレなので箇所箇所を)
    明治政府樹立後、元新撰組三番隊隊長斎藤一(藤岡さん)はその名を隠し、
    明治政府が設立した警察隊に入る。そこへ沖田総司の姉沖田みつ(沢城さん、創作?)と、それを呼び出したかつての坂本龍馬の腹心陸奥宗光(平田さん、実際の人物?)が現れる。

    陸奥「北海道五稜郭に新撰組の亡霊が現れ明治政府の人間を斬りまくったあげく五稜郭を占拠してしまった。このままでは争いが広がりやっと終わったはずの血で血を洗う幕末へ逆戻りしてしまう。そもそも本物の新撰組かどうか素性を確かめる為に土方歳三などの顔を知る2人のどちらかに北海道五稜郭へ来て欲しい」との事。

    沖田総司の最後を見とった姉みつは「死んだ沖田総司に再び会えるような気がする」とすぐにこれを了承、一方斎藤は・・・

    という流れなんですが、演奏部分は序盤の声を食っちゃった部分を除いて「良好」という事で置いておくとして、まず舞台上部に刀を持った武士が現れ、演舞(1人だから殺陣ではない?)を披露、「こういう形でたびたび現れて明治時代以前の武士の時代の空気を出すのかな?」と思ったら以降いっこうに現れない(この時点でこの人の空気(というか演出意図)が読めない)。

    で、斎藤はというと、妻と子をもうけて生活するも、新撰組で唯一生き残り(他は消息不明が何人か)、かつての敵であった明治政府側の犬として働く屈辱の暮らしの中酒浸りになり、思い出すのはかつての新撰組沖田総司(沢城さん2役)、土方歳三(平田さんニ役)、その他の仲間たち。
    そしてそれらがイメージさせる「桜の亡霊」という言葉。

    明治初期と新撰組時代を場面転換しながら物語が進むんですが、平田さん、沢城さんがそれぞれ2役をうまく演じ分けているのに対して、斎藤一の藤岡さんが明治初期と新撰組で同じキャラの為か、何か朴訥というかいまひとつ感情を出せていない感じが・・・

    そうこうしながら陸奥、沖田みつ、斎藤の三者が船で北海道へ渡ろうという所で暗転し、拍手喝さい。「あれ?まさかこの中途半端な場面で終わり?」と一瞬先日観た舞台の恐怖が蘇りかけたけれど単なる途中休憩でした。

    ここまでの場面で採点するなら、演技(この時点では2声優のみ評価)、演奏、舞台セット、武士の演舞は不明で「70点がいいとこかな?」、「今後実際どう展開していく?沖田総司、土方歳三などの亡霊が現れるオカルト的展開かな?」と想像しながら待ちます。




    で、後半開幕直後、まず驚かされたのが、再び舞台上部に現れる武士、両横に竹が伸びてたので「・・・まさか?」と思ったら演舞の中でいきなり竹をどんどん斬っちゃいます!まさか真剣だとは思わなかったので、今まで単に演舞として観ていたものがいっきに「この武士ホンモノの刀振ってたのか!(((( ;゚д゚))))」という恐怖とともにいろいろ想像を引き立たせる舞台装置的存在になってしまいました。(血は出ずとも触れれば指が飛ぶ刃物をあんなにうまく扱っていた、うわー、まさに武士だー、と(実際剣術家などの人かと思ったら役者さんだった模様、すごいなあ))
    後半になって五稜郭の新撰組?に近づくにつれ、この武士の場面も増えていきます(武士の日常の佇まいからなにから。もしかして近藤勇局長の立ち位置を演じてたのかな?)



    ここでまず自分のこの舞台を見る目が変わって来ました。新撰組といえば人斬り集団、と言われつつ、舞台上では隊士達の平和な日常を多く演じていた為、喜劇的なイメージもあったのですが、この辺りからいっきに幕末の血で血を洗う日常の空気が演技にも現れ始めます。そして、沖田総司の結核がひどくなっていく様も・・・

    このタイミングになって斎藤さん(藤岡さん)がだんだん当時の感情(沖田総司が調子を崩していく、それを心配する土方歳三、の2人に対しての気持ちの荒ぶりよう)を思い出したかのように演技に熱を込めてきます。
    「あ、この人演技が下手(朴訥?)なんじゃなくて、政府の犬として自分の気持ちを殺した所、また新撰組入隊当初のクールで通っていた所から始まってだんだんと新撰組末期の悲しい場面の感情へ移っていく部分をずっと表現しようとしていたのか」と、いやはや演者さんをちゃんと観れていないなあ、と深く反省。


    その後、北海道へ到着してすぐに猛吹雪に遭う場面と新撰組時代の桜舞い散る場面をイメージとして重ねてきたり、五稜郭を占拠していた新撰組の正体について配役の妙をうまく使ってきたり、また「桜の亡霊」といったフレーズもここでうまく繋げてきたり、「あ、こことこことこことこことここがみんなつながるんだ」とミステリほどではないにしても、うまく話を作ったものだなあ、と感心してしまいました。


    その上で中盤ポロッと出した伏線をうまく回収する形で沖田総司(またそれを演じた沢城さん)ならそうするんだろうなあ、とこれまた涙をさそったりとほんとうまい形で話をまとめました。

    ※後半かなり端折りましたがほんとよく出来た脚本とそれを演じる役者さん、そしてそれに良く合う音楽と演舞、舞台セット・効果など、今まで朗読劇はそれなりに観てきましたが、ここまで突っ込む所なしのよい物語になっているのは驚きです(単に自分が歴史を知らないだけで周りの歴女さん達はツッコンでたのかも知れませんが・・・)


    で、アフタートークの中で沢城さんが「今まで演劇では沢山練習してその中で色々な人とお食事したりする機会などがあったんですが、今回朗読劇という事で~」みたいな話をしていた所で、(演劇中テンションの高い役という事もあり、平田さんが4、5回噛んだ箇所以外かなり演技にも熱入ってたし十分練習されてたのかと思ってんですが、実は(個人練習はともかく)本人的には十分というほどの練習ができていなかった、と思っている?それにしてはよく演じてたなあ」とこれまた感心。(まあ本当は十分な練習をされている方がありがたいんですが)



    そういう意味で声優さん+役者さんの演技の妙と音楽、そして演出の妙、脚本の妙を楽しませてもらえたいい朗読劇だったと思います。


    これこそ「声優だからって舞台をバカにしていない!ちゃんとプロとして仕事してるんだ!」って言えるものだと思います。
    あー、明日で千秋楽というのが早すぎる、ぜひもっと色々な人に見てもらえたらなあ、と思いました。

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    2013/03/17 00:40

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