満足度★★★★
パワーマイムに期待
お芝居では役者が人を演じる。ときには生物やロボットや概念上の物体だったりもするが、総じて人格を演じる。それがこのお芝居では、あらゆる物事を役者が演技で表現している。「パワーマイム」というらしい。
開演してすぐパワーマイムを見たときには変わった形態模写に見えて思わず笑ってしまったが(失敬)、10分も過ぎた頃にはとめどもなく繰り広げられるパワーマイムにリアリティーを感じて、不思議にも実際の映像が目に浮かんでくるようになった。壁のパントマイムを見て、壁をリアルに感じるように。
たとえば、戦闘機が宇宙空間にワープアウトするシーンであれば、人が腕で輪を作ってそこを別の人間が通るのだが、空間にワープゲートが発生してそこから戦闘機が現れるのが目に浮かんできた。
この「ダストシューターズ」は宇宙が舞台のSFストーリーで、アニメやCGで見慣れたシーンが、すぐ目の前の舞台で人の演技で表現されるのは新しい感覚であった。これに照明やサラウンド音響による演出効果も合わさり、演劇から発展した新しいカテゴリーのステージパフォーマンスだと思った。
ストーリー自体が大味だったり、パワーマイムもまだ未成熟な感じは否めないが、単純に楽しかったし、パワーマイムの可能性と進化に期待し、カプセル兵団の舞台をまた観ようと思う。