満足度★★★
「正しさ」を巡る群像劇
戦争反対の活動をする人々の物語を通じて、人殺しや幸せといった道徳的なテーマを描いた作品で、単純に戦争反対を訴えるだけではない奥の深さがあって魅力的でした。
自己犠牲的な抗議方法で戦争に反対する「散華」と名乗る集団の成り行きと、その後の時代に学校の授業で彼らの方法論について討論する模様が交互に描かれ、正しさとは一体何に基づくのかを考えさせられる内容でした。
平和を得る為に用いている手段が、平和を脅かす物と概念的に同じであることを、ある有名な文章のパスティーシュによって示すシーンに不思議な情感があって、強く印象に残りました。
「散華」という言葉の選択や、輪廻を思わせる冒頭と最後のシーン等、仏教的世界観を感じました。
興味深い内容でしたが、演出が内容に合っていないと感じることがあり、勿体なく思いました。
衣装や演技スタイルがシリアスな内容に対してファンシー過ぎて、違和感を覚えました。
ひょっとこ乱舞名義時代からの特徴である、ふんだんに盛り込まれた群舞の軽やかなステップや倒れ込むような動きが印象的でしたが、今回はダンスシーンがドラマの流れを停滞させてしまっているように感じられました。
欠けた月をモチーフにした舞台美術が美しかったです。