満足度★★★
圧巻の『ボレロ』
ベジャールの代表作2本と、現在の芸術監督であるジル・ロマンさんの新作1本のトリプルビルで、男性ダンサー達の充実度が印象に残りました。
『ディオニソス組曲』
長編作品を短縮した版なので、特にはっきりとした物語は感じられず、健康的な官能性がある踊りを単純に楽しめる作品でした。
エキゾティックな音楽に乗せてダイナミックに踊る群舞が爽快でした。終盤では男性ダンサー達が周囲で手拍子や掛け声で盛り上げる中、アフリカのダンスを思わせる熱狂的なソロやデュオが続き、まるでダンスバトルみたいで圧巻でした。
『シンコペ』(ジル・ロマン振付)
心臓が止まった男の心に現れる様々なイメージをユーモラスに描いた作品で、師のベジャールとは全く異なる作風でした。
振付も音楽も一昔前の雰囲気があり、今この作品を作った必然性が感じられませんでした。ヒップホップ系のダンサーが踊った方が映えそうな振付で、バレエの技術があまり活かされていないのが勿体なかったです。
『ボレロ』
体をなぞる手先だけが照らし出される冒頭から、圧倒的な迫力のラストまでノンストップで盛り上がって行く作品で、強烈なインパクトがありました。ムーブメントのそれぞれはゲイっぽさが濃厚なのですが、それを嫌らしく感じさせず、崇高なものに見せる時間的・空間的構成が素晴らしかったです。
ソリストのジュリアン・ファヴローさんのダンスは、周囲の群舞に対するフレンドリーさを感じさせる人間味のあるものでした。