満足度★★
作品の持つ空気を大切に
観る前は翻案物だろうと思っていたのだが、どうやら原作に忠実だったようだ。(未読なので確かではないが)翻訳劇というとどうしても新劇団がある程度規模のある劇場で豪華な舞台装置と衣装で上演する芝居、というイメージがあるため、いろんな面で貧弱さ、底の浅さが見えたと言わざるを得ない。セットのない狭い舞台であり、衣装もごくシンプルなものなので(履物もゴムサンダルだった)当然のごとく観客の視線は役者の演技に注がれる。台詞の面でいうと兵士役の佐原功は滑舌が悪く何を言っているかわからないことが多い。サロメ役のならりえは朗誦するような台詞が多いのだが早口になると後半モゴモゴ言ってしまい聞き取りにくい。(台詞が早口になるのは感情の高ぶりを表すためと思われるがこうなっては本末転倒である。)領主エロド役の古川康史は擦れ声で王の威厳が感じられなかった。また兵士役の二人はサロメ、エロディアス、エロドらの台詞の間、後ろに控えているのだが、一方は終始しかめっ面をしているし、一方は終始ポカンと驚いた表情でいるしで、表情の変化が乏しすぎた。台詞によってもう少し変化をつけるべきだ。唯一いいと思ったのがサロメがヨカナーンの首を抱いて愛を語るシーンで流れたパッヘルベルの「カノン」。この選曲はカノンの流麗さと対照的なシーンには打ってつけだった。古典劇を上演する若手劇団は少なかろうし、そういう意味では貴重な存在である。今後の活躍に期待したい。
2013/02/25 21:03
頂いたご意見を次回に活かすべく、更に精進して参ります!
役者の物言いや、装置、衣装に至る部分、音楽についても更に研鑽して参ります!
引き続き応援賜りますようお願いいたします。