【 解 散 】ふくすけ【ご来場ありがとうございました】 公演情報 劇団PaPrika「【 解 散 】ふくすけ【ご来場ありがとうございました】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ふくすけ という事件
      劇団PaPrikaは、今回で解散ということだが、良い作品にチャレンジした。未だ、役者としては未熟な点も多々ある。然し、解散とは言え前向きに取り組み、体当たりで傑作に挑んだ志を評価したい。解散したにしても、今後、演劇に関係したり、興味を持ち続けたりして欲しい。ひとまず、お疲れさまでした。

    ネタバレBOX

     この作品は多くのタブーにチャレンジしている。はしたない、不都合だと余り大きな声では語られない、女性差別、不具、売買春、麻薬、レスビアン、堕胎、新興宗教、詐欺、精神障害等々。何より現実に存在するこれらの事象に対する頬かむりに、またこれらの問題を抱える人々に対する差別、蔑視、排除と見世物化に対して、先ずは、タブー視されるものの裸形を示そうとするのだ。結果、当然のこと乍ら、良風美俗からは顰蹙を買う。
    ならば、問おう。実際に目の前で起き、見えているものに頬っかむりすることは綺麗なことなのか、と。倫理的には遥かに穢れたことではないのか? と。穢れた魂を内に抱き、表層のみを見て差別し排除した上で虐げることは、立派なことなのか? と。このように問い掛けることは品のないことなのか? と。
     原作者はそう考えなかったようである。この作品が被虐者達の怨念を舞台上で昇華させた結果、この復讐劇になったからだ。ベートーベンの第9が、何度も鳴るが、使われ方が異なっている。ふくすけ誕生の際には、歓喜から衝撃へ、更に哀しみ、安堵、罪障感などを通してアイロニーへと、その意味内容は変奏されている。ラストでは、殺害された胎児達の、苛められた父の、躁鬱で苦しんだ母の、そしてふくすけの健常者に対する復讐成就の雄叫びにも似た歓喜が描かれる。然し、この復讐は余りにも素直である。そのように観客に捉えられることで、この作品は告発しているのではないか? 即ち、苛める側に立つ我々の心の奥、魂の闇の中にとぐろを巻く欺瞞を!

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    2013/02/23 02:41

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