満足度★★★
湖月わたるーさん-ワンマンショー
本当に宝塚ファンの女性の方々って、微妙な上品です。
ロビーのあちこち、客席でも、役者の名前を乱暴に言うことは、ありません。
ワンピースやスーツを着た女性が、ハンカチで口を押さえながら、
「わたるさんの作品はね・・・・」「わたるさんのお茶会に行きましたの」
「わたるさんの限定ブロマイドが手に入りましたの」。
あっちでもこっちでも、わたるさん、わたるさん・・・・
でも上演中にアメちゃんを探して、鞄の中をガサゴソ詮索はします。
何でもファンは芸名と本名とニックネームの3パターンを覚えるのが
流儀とか。
小劇場とも、ある意味近い、内輪の世界です。
内容なんですが、これが面白い。
笑いあり涙あり、良く出来てます。
作品も良く出来ているのですが、
湖月わたるーさんーの、魅力を色んな角度から引き出しており
歌あり踊りありギャグあり(自虐ネタさえあり)、シリアスありと、
そう彼女のワンマンショー。テンポも悪くない。
退団後初作品ではないけども、これこそ彼女の顔見世興行、
「私、こんな事、あんな事も出来ますの」って、
プレゼンテーションしているかのような3時間。
レビューじゃない形で表現できているし、大成功でしょう。
彼女はいいスタッフに恵まれましたね。
ただ、そんなワンマンショーも3時間は長い。
決して、あっさりとはしていない元宝塚トップスター、脂が強く、
胸焼けしちゃいました。
僕には彼女が前面に出る作品、彼女一本槍な作品は、
骨付きカルビ3人前って感じで正直重い。
彼女メインでも構わないけど、
もう少しサラダや豆腐、お刺身なんかが交じった
「くたばれヤンキーズ」や「オールシュックアップ」くらいのような作品が
丁度いい。
その程度の役柄で個性派女優として出演されたほうが・・・。
まぁでもファンには骨付きカルビ3人前ほうが、
満足感ありますよねぇ、焼肉食べに行ったんだから。
あくまでも彼女のお披露目ですから、
他の役者は、刺身のツマ程度。
というより個性があっちゃダメなんです、わたるーさんーが、目立たないから。
出ている役者も承知の上なんでしょう。
今井氏なんて、他の作品とかけもちとか。
ルテ銀のスペックにあう舞台装置、上品な布であしらえた幕や、
ライティングなんかも非常にエレガント。
内容も、クラシックな作品ではありますが、
狂言回し風に話を進める、育ちのいい貴公子、小林十市が、
しっかりと話の底上げをし、安心できます。
彼は随分上手くなったなぁ、もう40歳前後なのに、
若々しくしなやか、さすが元バエレダンサー。
美木良介に色気があります、背の高い男まさりの湖月わたるーさんーが、
惚れるのもごもっとも、と納得するような伊達っぷり。
彼は50なんだよなぁ、みんな若いなぁ。
それに比べ小林綾子の地味なこと。
役も地味だけど、なんだろう舞台の上での華がない。
湖月わたるーさんーのオーラに負けてしまったのだろうか。
でも、新橋演舞場で座長公演するんだよなぁ。
見に行かないけど。
エンターテイメント性に富んだ、非常に土台がしっかりとした作品。
構造からしても、地方公演、全然OKな作品ですが、
大阪公演だけとか。地方は入らないんだろうな。
この公演も、不思議なくらい、中通路より前は満席なんですが、
その後ろはガッラガラ。極端に密度の差があります。
他の方も言ってるよう、
「お好きな席でどうぞ」って感じでした。
ルテ銀なんて見やすいから窮屈な真ん中より、前も後ろも左右誰もいない
席のほうが3時間もの長時間、ゆっくりと過ごせるのにって
思うのは、
湖月わたるーさんーに、あまり興味がない僕だけでしょうか。
ミュージカルスターや宝塚スターって、やっぱり都会だけの
ものなんですね。
タダ同然でも「篤姫」に出ている山ユーとか涼風真世も
地方で客呼ぶための名前と顔売りなんでしょう。
NHKの力は想像以上に地方じゃ神通力がありますから。