【無事に終演しました】タイトル、拒絶【ご来場本当にありがとうございます】 公演情報 ロ字ック「【無事に終演しました】タイトル、拒絶【ご来場本当にありがとうございます】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    悪循環
    アクセル踏み抜いて爆走する自虐エンターテイメント。破壊力のある公演タイトルに負けない、ロックな作品でした。男の面倒くさくてだらしないのは見慣れているけれど、女のこじらせているのを見るのは新鮮でした。特に女性キャストの体を張った演技には、頭がさがりました。千秋楽まで怪我がないと良いなと思います。エロくてバイオレンスで、観客は物語を昇華させるためにももっと笑い飛ばすべきだなと思いました。そうでないと救われない。そう言う自分も、産む性と欲望の性の両方を引き受ける女性の生きざまに、色々考えさせられ、笑いどころであんまり笑えなかったのは残念でした。

    ネタバレBOX

    公演パンフレットの挨拶を読んで観劇後、これは観客に向けての激励の物語だなぁと強く実感しました。愛されたい、受け入れられたい、認められたい、けれどそうはならない現実と自分はどう折り合って生きていくのか。この作品を、単にエンタメ作品として笑い飛ばせる人はどれだけ幸せだろうと思います。実際、感傷にひたるひまも無い速さで物語が進行し、シーンのカットアウトも多いので、どうしようもない悲壮感に感情移入し過ぎることなくポップにライトに見えるのは見事です。でも登場人物はみんな最底辺で、自己肯定感のかけらもない、不幸と劣等感自慢のオンパレードで、最後まで救いも何もない。ネガティブな感情、その思いに牽引されて更に悪化する自分の境遇、そしてまたネガティブな感情へと頭の中はグルグル悪循環し続けて葛藤して悶絶する、そのリアルな若者の感情を、デフォルメして見せてくれたなと思いました。そのどうしようもない自虐っぷりに、あまりの自尊心の低さに、つい共感してしまう自分も弱い人間だと思います。

    劇中の「ぐるぐる」という言葉には、「変わらないけど終わりもしない日常の連続」が意味されていると思います。それと同時にこの時代を生き抜いていくには決まった道しかない風景としても「ぐるぐる」が意図されていると思います。みんな生きるための道を山ノ手線のようにグルグル回って生きています。けれどその道からはずれてしまうと、人間らしく生きていけない現実があります。どうして、道を踏み外したら元に戻れないのか、または違う道はないのかといった思いには世の中の「ぐるぐる」は応えてくれません。そんな閉塞感のある「ぐるぐる」への反抗がメッセージとして込められているのかなと思いました。

    とってつけたような前向きなメッセージや、ハッピーエンドが無くて好感が持てました。でも観る人によっては露悪的に感じるのかなと思いました。最底辺の人物しか出てこないので、別の立場からの視点がなく格差も救済もないですし。個人的にはそうした傷のなめあいから、もう一歩物語が深化するともっと自分好みだなと思いました。でもエンタメとしてはかなりレベルが高いなぁと思いました。

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    2013/02/14 19:25

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