満足度★★
中途半端な意図
普段はいわゆる商業系の演劇やミュージカルを上演している大劇場での公演で、パフォーマンス的な内容になるかと想像していたのですが、物語性のある作品でした。しかし、大空間の使い方とラッパーのZEN-LA-ROCKさんの登場のさせ方に力を注いでいて、それ以外の要素の扱いが大雑把で残念でした。
舞台の上にイントレでT字型に組まれたステージがあり、そこに向かって客席の後ろから次々と役者達が歩いて行く印象的なオープニングの後、杉原さんが出てきて舞台上に置かれたクッションに移動するように指示され、近い位置で芝居を観る形になり、クライマックスでまたしても移動を指示され、普段経験出来ない光景が見られて楽しかったです。
ヒップホップに憧れる男子中学生の青春物語をハイテンションでスピーディーな演技で見せる内容でしたが、とても安っぽいストーリーで、その安っぽさを相対化するような意図や手法も感じられず、演劇としての面白さが感じられませんでした。
空間が広く、役者もマイクを使用していたので、音楽をもっとガンガン鳴らした方が観客を巻き込めると思いました。大勢の役者が出演しているのに、冒頭のシーン以外ではあまり活かされていなくて、宣伝文にあるような「パレード/行列/行進」というモチーフが見えて来なくて残念でした。