私、わからぬ 公演情報 空間ゼリー「私、わからぬ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    他人と比較・評価しないと、私自身のことはわからない
     ある1年間、四季が移り変わっていく、徳井家の茶道教室に集う人々のつながりを映した戯曲でした。カンタンにいうと、人との出会いやつながりを大事にしたいことを訴えたホーム・ドラマでした。
     ストーリーには始まりのあといつか終わりが訪れるけれども、それでおしまいというわけではなく、ずっと続いていくというテーマを持った作品でありました。

    ネタバレBOX

     本作品のキャッチコピーに『私は、私のことがよくわからない』とあります。
     「私のことは私だけが一番よく理解している」という言葉があります。しかし、私自身だけでは必ずしも判断できない。他者と自分を比較してはじめて、私のことがよくわかるということです。
     「他人の不幸は蜜の味」という言葉があります。他人の不幸を知って、嬉々とする人の考えは卑しいけれど、それをものさしにして、私はまだ私自身が思っているほど不幸じゃないとわかるのです。

     他人と比較したり、他人から評価されないと、私自身のことはわからないのです。

     つながりを大切にしたいこと、思いやる気持ちを保つことは、頭で思ったり口にすることはカンタンだけど、実際にやるには難しい。
     家族から大事にされたい、愛されたい、よい子と評価されたいと思っている次女。
    長女や長男は家の中に居場所があるが、私には居場所がない。大事にされずに疎まれる存在と思っている。
     私は必要とされているかそうでないかという基準で私自身がわかると思っているため、叱ってくれる家族に暴力を振るって対立してしまう。

     ほめてばかり、甘い言葉でかわいがってくれる他者は、本当に自分のことを必要と思っている人ばかりではない。利用したいだけである。利用する価値がなくなったら、掌を返されてポイと捨てられる。
     家族、知り合いや仕事つながりなど、叱ってくれる人というのは、自分のことを本当に大切にしたいと思っている。暴力を振ったり、怒ったりのではなく、よりよくなるために叱るのである。叱られて自暴自棄になって周囲にやり場の無い怒りを撒き散らすのはよくない。

     逆に物分りのよい大人として、自分の意見や主張を他人に言わないのも、あまりよくない。大切な人と気持ちが通じ合えず、終わりが訪れてしまうのです。

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    2008/04/10 00:43

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