満足度★★★
リズミカルなトリプル・ビル
アメリカと縁深い振付家や作曲家が関わっている、物語のない抽象バレエ作品のトリプル・ビルで、エンターテインメント性に富んだプログラミングでした。
『コンチェルト・バロッコ』
バッハの『2つのヴァイオリンのための協奏曲』に振り付けた作品で、ソロとトゥッティの対比や、カノン状に進行する旋律線といった音楽構造が視覚化されていて爽快でした。
第1楽章はオーケストラとダンサーがお互い探りあっている感じもありましたが、次第に音と動きの一体感が増して行き、第3楽章のユニゾンの部分では心地良い緊迫感があって素晴らしかったです。
『テイク・ファイヴ』
昨年亡くなったデイヴ・ブルーベックのカルテットの曲に振り付けた作品で、ミュージカルみたいな雰囲気が楽しかったです。6つのパートからなっていて、冒頭に踊られる『テイク・ファイヴ』にちなんで、その他のパートも曲の原タイトルとは別に、数字を含んだタイトルが付けられ、その数の人数で踊るという構成が洒落ていました。
本島美和さんと厚地康雄さんのデュオに大人の色気が感じられて良かったです。
『イン・ジ・アッパー・ルーム』
ビッグシルエットのストライプのシャツとパンツや、赤いレオタードに白のスニーカーといった衣装を身に纏い、多量のスモークの中でエネルギッシュに踊る作品で、この作品が作られた80年代の雰囲気が色濃く出ていて、ダサ格好良い感じが新鮮でした。
まるでスポーツの様にひたすら踊り続ける、かなりの体力を要求される作品でしたが、終盤の畳み掛けるシーンまでスタミナが続かずミスが多かったのが残念でした。