「テヘランでロリータを読む」 公演情報 時間堂「「テヘランでロリータを読む」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    素晴らしかったです。
    冒頭のタイトルコールまでの「声」にゾクゾクしました。暗く広い空間の中で役者さん達の声が驚くほど美しく心地よく体に滑りこんで来る。黒いベールに身を包んだ女性達のように発する情報が制御されるかと思いきや、舞台からこちらが受けとる情報の多さに驚きながら観てしまいました。原西さんの変態と紳士が同居した魅力も相まって、実にセクシーな感覚に包まれた芝居。役者さん達の力はもちろん、あのような統制の取れた演技を役者さんたちにさせることが出来る世莉さんの演出力・役者を育てる力にも感動。人間の発する力にただただ震えて、目を見張っている間に長いはずの2時間が過ぎました。

    ネタバレBOX

    シンプルな照明、セット・音楽のない素舞台で。役者さんの力を見せつけられて、演劇の原点を見た思いです。やはり演劇は人間の力が全て。それ以上でもそれ以下でもない。余計なものを削ぎ落として、ここまでの力をつけて初めて演劇が始まるのだと思いました。

    観終わっての帰り道、ロリータを読みたくなりました。今この時代の日本に生きる私はどのようにロリータを読むのだろう。そして10年後20年後は同じ書をどう読むのだろう、どのような人生を歩むのだろう。厳しい時代に隠れてロリータを読んだ女性たちのその後の人生に思いを馳せると、その余韻は痛く切なく暫くこの胸に留まるだろうと思わされると共に、時間堂という劇団の演劇への・そして人間への崇高な思いを強く感じさせられる素晴らしい舞台でした。

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    2013/01/26 20:25

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