新・新ハムレット2013 公演情報 劇団キンダースペース「新・新ハムレット2013」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    必見
      舞台美術がいい。入場するといきなり身が引き締まる。そういう作りである。質感が、城の石造りの重々しさを表現しているばかりではない。ここで、これから繰り広げられる作品の内容を暗示するよいうな緊張を孕んでいるのである。
     シナリオもシェイクスピアには、無い部分が付け加えられている。大岡 昇平「ハムレット日記」、太宰治「新ハムレット」、志賀直哉「クローディアスの日記」から付け加えられている。
     この劇団が、シェイクスピアを現代日本に蘇らせようと格闘し、その切実さそのものを俎上に載せたかったからである。その企ては、成功している。
     シェイクスピア自身が恐らく西欧的な自意識の問題について悩み、世界と世界を認識すべく位置づけられた自意識のギャップに引き裂かれる主人公としてハムレットを描いた、その切実を現代日本の政治、文化、メディア情況の中に埋め込み、我ら自身の問題として捉えようと図ったのである。この企てについても成功している。
     これら壮大は企画を成立せしめた高度な演出、演出に応えた役者陣、音響、照明も勘所を掴み、無駄の無い効果的なものであった。科白回し一つとってみても、劇場の大きさや舞台の使い方に見合った発声であった。観ておかなければ悔やむことになる舞台だろう。

    0

    2013/01/26 01:10

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大