演劇集団 砂地 『Disk』 公演情報 演劇集団 砂地「演劇集団 砂地 『Disk』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    この世代感
    6人の俳優でどえらい世界を創ってしまったんじゃないか。自分が受けた衝撃があまりに大きくて観劇後の帰り道にボーっとしてしまった。でも頭からこの公演についての情報がひとかけらもこぼれないようにと必死で思い返して味わいました。ヒリヒリして息苦しい空間が刺激的で、哲学的に感情的に悶え悩む登場人物達に胸をうたれ、ラストまで興奮が持続し続けました。繰り広げられる普遍的な問いのレパートリーは幅広く、それに対する答えの片鱗は交錯して、「現代のわれわれの世代とは」について突き詰めて考えられてるなと感じました。でもその言葉1つ1つが新鮮さを引き立たせる演出、劇空間が美しくて、楽しくて、洗練されてるなぁと思いました。

    ネタバレBOX

    未消化で全然理解できてないけれど、とにかく強い衝撃を受けました。本当にこの世の中は発展しているのか。登場人物は皆、自己肯定感が歪んでいる。ありのままの自分を認めてもらえる体験が欠如しているようにみえます。それは、社会と個人が断絶している、国家とか政治システムにはもう希望や失望もしない、関心すらないという状態なのかと思います。実際、劇中には個人と個人の葛藤しかないように見えました。そして、その感覚はとてもリアルだなと思いました。自分で無くてもいいという交換可能性すら想起しました。

    個人ごとの過去・現在・未来。もし人間(の記憶)がDisk(記録媒体)なんだとすると、過去を断絶して、未来に希望を持てないこの世代には今しかないんだと思いました。人生の1回性、楽しいことだけ繰り返す。今ある現実を引き伸ばして、自分の内側にこもって、未来のことは考えないようにすること(海外への放浪を続けることや、家に閉じこもって他者との関係を排すること)。劇中に「全てのことが他人事に感じる」男が自分の子供が生まれた事だけは自分の事に感じられること。叫びだしたい衝動。自分は何者にもなれないという全能感の喪失。一生懸命人とつながろうとするも人間関係に依存する妹と、関係を遮断して内にこもって死んだ女に依存する兄。その兄妹、両方の見せる孤独。肉体はオーストラリアでも、ニュージーランドでも、もしかしたら月にも行けるかもしれないのに、気持ちはどこへも行けないこと。

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    2013/01/25 23:11

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