元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら) 公演情報 国立劇場「元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「日本的」な「察し」
    討ち入りなどはない、「静かな忠臣蔵」。

    ネタバレBOX

    「元禄忠臣蔵」 《江戸城の刃傷》
 《御浜御殿綱豊卿》
 《大石最後の一日》
という内容。
    つまり、討ち入りなどはない、「静かな忠臣蔵」と言っていいのではないだろうか。
    「江戸城の刃傷」も内匠頭が吉良に斬りつけるシーンはなく、すでに内匠頭は取り押さえられている。

    この「静かな忠臣蔵」で見せてくれるのは、「日本的」な「察し」だ。
    「何も言わずにわかる(だろう)」ということ。顔を見て、目を見て、互いに察し合い、「うむ」と頷く。
    それは、観客にも必要なモノでもある。

    「ここでは、彼らはわかっているのだ」ということを「察し」なくてはならない。
    例えば、内匠頭が刃傷に及んだ理由を語らないことや、「刃傷なのか喧嘩なのか」という言葉の使い方、また、綱豊が助右衛門に尋ねているのはどういう意図なのか、そして、十郎左衛門が語らないのはどうしてか、さらに浅野家再興との関係など。
    「大石最後の一日」での、男の姿で現れたおみのの心情、それを最初は断るが「偽りを誠に」と言うおみのの言葉に揺り動かされた内蔵助の心情。磯貝の「婿に相違ない」と言わせるまでのやり取りなど、気持ちの襞を見せるような
    美しく無駄のない台詞。

    そう、この舞台は、洗練された台詞を楽しむ舞台でもある。
    台詞の間に隠されたり、現れてくる感情、本音や建前に隠れている感情、露わになる気持ちなどを読んでいくというところが肝であるのだ。

    討ち入りのカタルシスはないものの、そうした「心情のやり取り」が、美しい台詞の中から聞こえてくるのだ。

    中村吉右衛門はさすが、「ここだ」という場所をきちんと観客に伝えてくる。

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    2013/01/03 21:09

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