泳ぐ機関車 公演情報 劇団桟敷童子「泳ぐ機関車」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ややネタばれかも?
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    劇団・座敷童子の【泳ぐ機関車】を観劇。

    今年の紀伊国屋演劇賞を受賞。

    炭鉱三部作の最終話。
    炭鉱主である父とその家族、そして従業員達の物語。
    それを息子の視点を通して描いていく。

    一代で炭鉱主として成功した父親は、世間では炭鉱の神様と言われている。
    それは金持ちになっても、決して奢らず、従業員を家族の様に扱っているからだ。
    そんな神様と崇められている父親も、落盤事故による社員の多数の事故死、新しいエネルギー開発による波に追い詰められていく。
    そして手の平を返すように従業員達が豹変して、父親は苦悩の末、自殺してしまう。
    そして炭鉱も閉山に追い込まれ、残された家族はバラバラになっていき、そのボタ山を去っていく。

    所謂、良くある炭鉱の話で目新しくないのだが、何故この事を題材に取り上げるのか?
    3.11の震災による東電の企業責任、対応、それ以外も含めて企業のあり方が一番問われている今だからこそ
    描く価値があったのだろう。題材はあくまでも昔の炭鉱の出来事ではあるが、描かれているテーマこそが、
    失われつつある温かい人間社会をテーマしている処だ。特に物語上の父親が、社員を失った時の対応こそが、
    本来一番大切な社会倫理であるべきだ!という事を明確に訴えている。物語上では父親は自殺をしてしまうのだが、
    父親は事故を真摯に受け止め、行動している辺りが確実にものがっている。
    一応、息子の視点を通して描いているだが、それが殆んど意味を成さないぐらい作家のメッセージ性が溢れた意欲作だ。

    劇場の場所が錦糸町の倉庫、そして今ではなかなかお目にかかれない派手なセット。
    誰が観ても感動するストレートな物語と、演劇の異空間を体感するには持って来いの芝居だ。


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    2012/12/26 14:05

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