満足度★★★★★
全てが美しい
泉鏡花が大正三年に発表し、のちに自ら戯曲化するほど鏡花自身も愛していた名作。
今回の公演は、常にあくなき探究と研鑽を積み重ね、芸と美を兼ね備えた坂東玉三郎が演出、そして実に二十五年ぶりに主役の芸者・お孝役に挑戦している。
その舞台の玉三郎は、言うまでもなく立ち居振る舞いが絶品で美しい!
キャステイングも素晴らしい。
対役の芸者・清葉の高橋恵子も、しっとりと癒しの演技で嫋やかに和の美を醸し出している。
他の出演陣も充実し、鏡花独特のとにかく美しい台詞で綴られた演技で、その一篇一篇の詩が、舞台を増幅した映像の拡がりを持って脳裏に浸透してくる。
全てが美しい舞台だった。