弔いの鐘は祝祭(カーニバル)の如く 公演情報 天幕旅団「弔いの鐘は祝祭(カーニバル)の如く」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    懐中時計
    チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。

    ネタバレBOX

    親友・マーレイ(渡辺望)と金貸会社を立ち上げたスクルージ(菊川仁史)。約束は約束だと、貧困民にも厳しく当たるマーレイに対して、情にあついスクルージだったが、7年前のクリスマス、スクルージの吐いた2ペンス硬貨の嘘をきっかけに集金に行くマーレイは、貧困民から暴行され殺される。自分が死ぬはずだったと悩み苦しむスクルージは、マーレイの墓に自分の名前を彫り、マーレイのように厳しい金貸を始める…。
    クリスマスの夜、従業員・ボブ(佐々木豊)の子の幽霊(加藤晃子)が現れ、スクルージに過去と現在と未来を見せる。過去と向き合ったスクルージは、墓参りでマーレイと言葉を交わし赦され、未来を生きる。

    元の作品は知らない。
    マーレイの他人にも自分にも冷めたような一貫した考え方が、この7年で冷え切ったスクルージの心を温めるラスト。涙を流すスクルージにグっときた。演じた菊川がとても上手かった。
    きっかけとなった幽霊を演じた加藤も、少年性と純真さを備えた演技が良かった。この幽霊が現れたのは、スクルージがボブに見せたひとかけらの優しさ(クリスマスの休暇)のお返しだろうか。マーレイとして生きる前のスクルージが言ってた「特別な日(カーニバル)」に起きた特別なイベント。全体的に寒々とした空気の舞台に、小さな灯りがともるような作品だった。好み。

    マーレイを演じた渡辺もいい存在感を出してた。マーレイという人間にも興味が湧くくらい。
    スクルージに金貸の相談をした貧困母子家庭のマリアを演じた渡辺実希も良かった。スクルージに懇願する際の目の表情がいい。

    簡素な舞台セットと服飾を用いた演出、照明効果、硬貨の効果音。80分程度の短い時間で、高い物語性とそれに合った印象深い舞台演出でもって、少人数のスマートな作品に仕上げた良作品でした。

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    2012/12/23 11:22

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