泳ぐ機関車 公演情報 劇団桟敷童子「泳ぐ機関車」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ひまわり
     ラストでハジメが歩き始める時、それ迄ずっと傾け続けていた首を昂然ともたげ、冷たい冬の大気の中を出掛けてゆく姿にこの作品の要が秘められていよう。母の愛したひまわりのように、例え踏みつけられ泥まみれになろうとも、太陽のようにいつでも笑っていようという覚悟が人の心を打つ。

    ネタバレBOX

     また劇中、伝統的炭鉱山主の非情と剛毅も描かれたが、本などで読んではいるものの、矢張り隔世の感がある社会へ、もと小頭の民主的資本家が参入することの難しさを描いたというより、矢張り資本家と労働者双方の要素を持った者の内部矛盾の過酷、更には因習と新しい物とのぶつかり合いの凄まじさが彼の生きる環境とその渦中にあって、それをアウフヘーベンするということが如何に困難なことであるかを見せつけられたように思う。また、それ迄蔑ろにされてきた働き手らの新たな価値観に対する過大な期待と裏腹の関係にある過度の失望という変数も考慮せねばなるまい。何れにせよ、その間を縫っていい目を見ようと画策する関係者の利害と欲も絡んで凄まじい迄の人間関係を示唆し得た点が興味深い。それを牽引したものこそ、ハジメら子供の純粋性であったことに、この作品と劇団の傾向が現れていよう。

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    2012/12/20 01:39

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