泳ぐ機関車 公演情報 劇団桟敷童子「泳ぐ機関車」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    炭坑の神様
    面白い。

    ネタバレBOX

    炭坑で小さいながらも王国を作り上げ、「神様」と慕われる辰介(池下重大)だったが、落盤事故を契機に、カネや名声、地位を一気に失い失踪する。辰介の妻・玉恵(椎名りお)が命と引き換えに生んだ末弟・ハジメ(大手忍)は、ちょっと変わったとこはあれども、愛され育つ。そしてダンボールの汽車で遊ぶ孤児(外山博美)と友達になり、失踪した辰介を、スラム街的な地域で見つけるが、変わり果てた父の姿に動揺する。結局、炭鉱は閉鎖となり会社も倒産となり、2人の姉とともに親類の家に転居することになる…。

    ラストの父や母やおばあちゃんらの「生きろ」コールから、覚醒したような表情をみせるハジメが眩しい。炭鉱の街の地下の冷たい水に、汽車を浮かべるという、孤児との約束は守れなかったが、ゆっくり動き出したハジメの人生を表現するような汽車の登場(とバックのひまわり)も相まって、印象的なシーンとなっていた。

    板垣桃子演じる、辰介の義母・野毛綾華がワンポイントになってた。
    ちょいアウトローで強引で「ドン」って感じだけど、孫らには優しい。辰介に対して、家族をもっと大切にしろと忠告もしたり、辰介の性質が炭坑主には向いてないことを見抜くなど鋭い女性。それでいて、事故後の家族への血の通った対応ができる芯の太めな女傑。
    綾華との対比というわけでないだろうけども、辰介の「家族」への想いはどれほどだったのだろうか。玉惠の死後、墓参りもあまり行かず、お手伝い(川原洋子)と通じ(綾華は見抜いてた)、事故後は突如失踪。綾華曰く「宝物」のはずの子供らのことをどれほど想っていたのか。
    炭鉱に取り憑かれた男の悲劇の話と、その息子の心に生まれた志の話、だった。

    ちなみに、父(炭鉱の神様)と孤児(ハジメからみた神様)とハジメが言葉を交わすシーンが美しかった。
    また、エネルギーは誰かの苦労の上に成り立つというメッセージが、コトの重大さとそれが難題であるということを思い起こさせる。

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    2012/12/18 01:01

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