満足度★★★★
「芸者を呼べ!急げ!」
フライヤーの熱帯ムード(?)に象徴される暑苦しい程のオーバーアクト。
“女だけの芝居は理屈っぽい”というイメージを持っている人、
このナンセンスアマゾネス軍団を観よ、ここには論理など存在しない。
だいたい前説からしてふるってる。
「他のお客様のご迷惑になるヘンな癖のある方は存在を消してください」って、確かに。
炊飯ジャーの製造会社社長多根松氏に、社員から“一代記ビデオ制作”がプレゼントされた。
制作会社からやってきた取材スタッフ2人は、社長や社員の話を聞くが失望する。
彼らが欲しいのはそんな“いい人”の話ではない、
もっと劇的で悲惨でドラマチックな“別の人生”の話。
そこで社長の人生を源流へとさかのぼって、時々バルブを開けたり閉めたりすると
選択されなかった別の人生が流れ出すのだ・・・、脈絡もなく。
なーんてストーリーを追ったりするのはやめだ。
「腰布一枚の」息子を探して歩く聖母マリアが時折通り過ぎたりするのだから。
げんこつ団副団長の植木早苗さん、この人がどうしてこういうテイストに走るのか…?
と思うほど素顔は“ヅカ風”のキリリとした美人だ。
なのに惜しげもなくハゲのヅラでオヤジと化す所が潔い。
それにダンス。
サラリーマンネオみたいに全員がスーツで踊る、これにはびっくりした。
なんでみんなこんなに上手いの?
映像の使い方も洗練されていて舞台の延長線上のように感じられた。
テレビで時々見る「もしも…」のコントをふくらましたような
そこをゲバゲバ90分が横切るような
っていう表現は劇団に失礼かしら?
でも女同士、小奇麗にまとめた“ほっこり”“心温まる”“ほろりとさせる”コメディじゃなくて
“強烈なナンセンスしかもブラック”にこだわるところに超個性的な劇団の存在価値があると思う。
今回客席の反応が良かった所を強調するためにも、
もう少しテンポ上げてコンパクトにしたら
もっと笑いが来る気がするけどどうだろうか。
緊急時に警察じゃなくて「芸者を呼べ!」と叫ぶところが好きです。
植木早苗さんがはんてん着て転がってるところが好きです。
この人が普通に美しいところもぜひ観てみたい。
しかし駅前劇場、「演出の都合上寒いので」とブランケットの貸し出しがあったが
ホントに寒かった。
どんな演出であんなに寒くなるの?
バルブを開けると風が出るってことか?
2012/12/20 15:19