【緊急再演】つぎとまります【王子小劇場】 公演情報 劇団肋骨蜜柑同好会「【緊急再演】つぎとまります【王子小劇場】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    アヒルとお嬢さん
    女優さんの方の喋り方が妙に気になっていたが、舞台の終盤になってやっと意味が分かってきた(笑

    ネタバレBOX

    もともとの話し方がそうなのかもしれないけど、
    女優さんが少しきょろきょろしながらやたらと口を少しとんがらせて喋るのが印象的だった。

    ・・別に不自然という訳ではなく、
    それが妙にあっている気もしたので、
    観ている間もそんなに気にはなっていなかったんだけど、
    この女優さんは実は作家の(現実の部屋の隅に転がっていると思われる)素麺機に浮かんでいるアヒルだからあんなアヒルっぽかったのかな、
    と最後にふと思った(笑

    この作品、ゴトーの「待つ」をうまくアレンジした二人芝居。
    シンプルでよく整理されているなと感じた。
    メタ構造を上手く遊んで物語を出たり入ったり(笑

    女優がどんどんアヒルっぽくなっていくにつれ(笑
    男の振り回される速度も加速する。

    やがて女優に連れ出されて観客のお地蔵さんと一緒に自分の世界を俯瞰するところはひとつの見せ場だ。

    そういえば最初に問いかけていたのは(まだ名乗ってもいなかった)作家のはずなのに
    いつしか逆に作家を揺さぶって、
    自分をヒロインにした世界(=作品)を書かせている。

    ・・あれ、いつの間にどっちがどっちになったんだっけ?(笑

    最初は、この男こんなに詰まんなくっちゃ作家になんかなれないだろ。
    ・・・むしろ女性の方が作家向きなんじゃないの?
    と、観客に思わせておくのも作戦のうち。

    やがてこのアヒルめいた女優が、男の頭の中で生み出された登場人物(たぶんディーヴァとでもいうべきようなもの
    であることが感じられるにつけ、
    作家の頭の中に訪れた幸福な瞬間とでもいうべきものに
    立ち会ったことに気づかされる(笑

    実はこの劇場に向かう途中のバスの中で
    中勘助の書簡集を読んでいて、
    岩波茂雄にあてた手紙のなかで自分の原稿を移動途中で紛失したことを報告する手紙を見つけた。

    バスや電車は、何かと出会うこともあればなくすこともある(笑

    自分は一週間ばかり前に京都にぶらっと出かけたとき、
    お気に入りの瑠璃光院に向かう途中、
    八瀬比叡山口の駅前で見かけた蕎麦屋の軒先を掃くおばあさんと
    その店先に一つある外灯の景色を思い浮かべていた。

    自分の奥の細道にはこの作品みたいな女優は登場せず、
    大抵萎びた感じのおばぁちゃんやおじいちゃん猫なんかしか登場しないなぁ(わざとそんな道ばかり選んでいるというのもあるんだろうけど(笑

    冬は寒がりの猫を膝の上に乗っけるのも素敵だけど
    木枯らしが吹く中ぶらりと煤けた旅に出かけるもの良いものだな
    (それが作家の頭の中であれ

    この季節にはなかなか良い趣向のメタだと自分は思う。

    1

    2012/12/15 00:54

    0

    0

  • ぱち太様

     ご観劇いただきありがとうございます!

     アヒル口に関しては完全に意図の範囲外でした(笑)

     演劇というのは、俳優という身体が、脚本家の言葉によって定義される過程、その身体と言葉のせめぎあいのようなものが垣間見えるとき、一番輝くものと僕は思っています。彼女がだんだんアヒルに似ていくというのは、もしかしたら、田中渚という女優の身体と、僕の言葉に折り合いをつけようとして無意識に生まれた、新しい演出の境地なのかもしれません。というのは、好意的すぎる解釈でしょうか。

     とにもかくにも、さまざまなご感想が僕の耳にも届いています。ありがたく拝見させていただき、今後の活動の参考にさせていただく所存です。

     次回以降も、もしお時間等ございましたら、ぜひ足をお運びください。

     ありがとうございました。

    劇団肋骨蜜柑同好会
    フジタタイセイ

    2012/12/17 00:59

このページのQRコードです。

拡大