満足度★★★★
大人がじっくり満喫することができる作品
プロデュース公演なので、作・演出の古川氏の劇団「箱庭円舞曲」での公演とは、当然ながら役者の質感や演出に違いがあり、最初のうちはその違いを楽しむつもりで臨んだ。だが、作品中盤あたりからはもうそういった余分な邪心なく素直に引き込まれていった。むしろ終幕にむかうにつれて、公演形態が変わってもけして揺るがない作家性の根幹がひしひしと感じられて、新鮮な感覚に。精神病棟というのは一見、映画や小説など物語の舞台になることが多い印象もあるが、今回の作品に既視感は無かった。描かれているのはその精神病棟の特異性を越えた、もっと普遍的なもので、人間の人生に対するあがきのようなものだったように個人的には思う。
大人がじっくり満喫することができる作品。