『雪降りて/悲しみに』『トロイメライ』 公演情報 スタジオイワト「『雪降りて/悲しみに』『トロイメライ』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    孤独なトロイメライ=夢
    如月小春の『トロイメライ』を再構成したコンパクトな音楽劇で、短いながらも独特の孤独感が印象的な作品でした。

    最初に高橋悠治さんの新作の短いピアノ曲が演奏された後にリハーサル風景の映像が10分程流されてから、上演が始まりました。
    シューマンの『トロイメライ』が演奏される中、全身真っ白の衣装と仮面を身に付けた男がゆっくり現れ、椅子に置かれた大きな白い球体を持って立ち去った後、2人の役者が登場し、12歳のカイとサキが「永遠の中庭」と呼ばれる死者の世界へ行って戻ってくる物語が展開しました。最後に再び『トロイメライ』が流れる中、白い男が現れ、球体を椅子の上に置いて立ち去り、曲の最後の1音が弾かれないままに暗転して終わりました。
    この世を辛く思いながらも生きて行く悲しさが冷たく淡々と描かれていました。

    白い男の格好や歩き方、死者の世界を夢として描いた物語、顔の向き上下に変化させることによって表情を異なるように見せる手法、といった能を連想させる要素が多くありました。
    『トロイメライ』(「夢」のドイツ語)はシューマンの『子供の情景』の中の1曲なので、そういう意味でも子供の妄想(?)を描いた内容にとても合っていました。

    『トロイメライ』の断片が宙に浮かんだような曲や、ベートーヴェンの『月光ソナタ』が引用された曲等、寂しげな響きが印象的でした。

    作品としては良かったのですが、高橋悠治さんの演奏とはいえ、実質1時間に満たない内容で通常のチケット代だったので、コストパフォーマンスが悪く感じました。

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    2012/10/15 10:55

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