夢のあとさき 公演情報 劇団キンダースペース「夢のあとさき」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    夢現
     三席の落語を芝居に落とし込んだが、第一席に「夢の酒」第二席に「天狗裁き」そしてトリに「芝浜」を持ってくる。気の利いた構成であった。夢の酒は、軽め、天狗裁きは、イラク戦争でアメリカがイラクに迫った大量破壊兵器を持っていないことを証明せよ、とのいちゃもんを思い出させて、不条理劇の怖さを改めて見せつけられたような恐ろしさを現前させ、トリの芝浜では、言わずと知れた人情噺の傑作を舞台化した。非常に小さな劇場だが、出捌けは深く切れ込んだホリゾントからで能の橋掛りや歌舞伎の花道が在るわけではないが、上手奥に深く穿たれたホリゾントは、充分にその効果を発揮し、興をそそる作りになっている。舞台美術も三席総てに共通する文様ではないものの、合理的な作りで、観客の想像力の邪魔をしないものであり、照明、音響で一瞬にして場の雰囲気を変える手際も鮮やかなものであった。
     演じた役者陣は、全員、和服を着ての演技であったが、歩き方、立ち居振る舞いも和服を着るときのそれで、細かいところへの気遣いが見て取れ、満足のゆくものであった。
     演出家の謙虚で真摯な態度も、役者陣の気を抜かない演技もレベルの高いものであったが、噺に忠実に作り込んでいる分、落語の本来持つ、狂気が出ていたのは「天狗裁き」を第一に、「夢の酒」を第二にという感じであった。芝浜は、人情噺の代表的な作品だから、狂気のようなものを取り入れるのは容易ではないが、立川 談志の噺のような切れと激しさを入れるともっと良くなるように思う。何れにしろ、謙虚で真摯な劇団と見た。これからの更なる研鑽に期待して、今回、星は4つ。

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    2012/10/14 06:40

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