「みごとな女」「妹の着物」 公演情報 劇団グスタフ「「みごとな女」「妹の着物」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 若手VSベテラン
     時代背景を考慮した演出だろうか? 古色蒼然たる音声案内。これには、流石に驚いた。まるで、数十年前の浅草に迷い込んだような錯覚さえ覚える。今回は、森本 薫の「みごとな女」と川端 康成の『掌の小説』から「妹の着物」を舞台化した二本立てだ。
     「みごとな女」では、若手が中心の舞台作りで、看板女優の渡邉 宰希が胸を貸す、といった舞台作りになっていたので、こちらはエチュードの仕上がりを見る、という感じであった。
     が、休憩を15分挟んで演じられた「妹の着物」は、殆ど渡邉の一人舞台という形式で演じられるのだが、実に上手い。演出、照明、効果音も適切である。

    ネタバレBOX

     幾つか、例を挙げておこう。開演早々、姉、妹の早変わりを演ずる場面があるが、一瞬部屋の隅に身を隠しただけで、玄人と素人の本質を演じ分けるのだ。更に病み衰えてゆく妹の顔が痩せ、目が大きく見えるようになり厚化粧をすると崩壊の美を彷彿させることなどを話しながら、口紅を引くシーンでは女そのものを感じさせる。
     また妹の亡くなる晩、危篤状態の妹を夫に託し医者を呼びに走る途中で、妹の結婚前の恋人に呼び止められ、妹と間違って為される恋人の呼びかけ、嘆願の言葉から、妹が大恩あるあねに義理を立てる為に、気の進まない結婚を承諾した事情を知るが、妹の着物を着、髪型も妹と同じに替え、体つき、顔立ちもそっくりな姉は、そのまま妹を演じその男と情を通じるのだが、川端の筆の冴えをきちんと受け止めて伝えてくる。
     他にも印象的なシーンは多々あるが、見る時の楽しみを殺ぐのは本意ではない。伏せておくとしよう。評価は二本合わせて★4つとした。

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    2012/10/01 03:56

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