満足度★★★
ネタばれしたところで・・・・。
劇団・はえぎわの【ライフスタイル体操第一】を観劇。
作・演出のノゾエ征爾は、2012年の岸田戯曲賞者だ。
この賞を取った劇作家の前後の作品は大体が面白い。
人は起きて、飯を食べて、トイレに行き、そして会社に行く。
当たり前の生活を送っている我々が、ある時ふと?そんなライフスタイルに疑問を持ったら・・・・。
10組近い老若男女の何もおきない日常生活を描いていて、その何も起きない毎日だからこそ、そこには最もドラマらしい事が隠されているのではないか?と人々の日常を断片的に描いていく。決して展開らしい展開はないのだが、当たり前の毎日は、実は起承転結の出来事だらけではないか?と観客に少しづつ投げかけて行き、そこに気が付いた瞬間にこの芝居の面白さが分かってくる。受身で観劇していたら、こりゃ退屈だなぁ!なんて騒いでしまいそうなほど、こちらの観劇する姿勢を問われる芝居だ。自分自身ですらこの様に感じたのは翌日で、「なんとまぁ駄目な観客だよなぁ、俺?」と自分の観劇姿勢を疑ってしまったものだ。
しかし今の小劇場の潮流は、この様な【無原則的巻き込み方】の芝居が多いようだ。アングラ代表格・故寺山修二の【肉体的巻き込み方】とは大いに異なるのだが、【無原則的巻き込み方】は、一歩間違えるとツマラナイという一言で済まされてしまい、忘れ去られてしまう危険性がはらんでいる。だが、明らかに時代と共に小劇場の表現方法は、多様化しているのは間違いない。
そこを戯曲のみ判断している岸田戯曲賞の選考委員の方々もあなどれない。