満足度★★★★★
物語は3・11へと収束していく
劇中、歴史的出来事が読み上げられ(19某年に大凶作など)物語と現実の出来事うまく結合させている。主人公の献身的な死では終わらせず、我々に問いかける形になっている。「人間は科学の力で自然を支配できるのか?」と。劇中での火山爆発に対する試行錯誤は、昨今の福島原発でもたらされた状況と何故かダブって見える。
劇そのものについてはグスコープドリ役が可愛い女の子だったのがとても新鮮で、けなげさを感じた。さらにそのグスコープ取りの周りを支える役者たちは落ち着いた演技をしており、グスコープドリの純粋さを引き立ててくれた。
また幻想的な音楽、小道具も興味深いものがあった。ボーア先生の歴史の講義でのロープの位相を変える演出は秀逸と思う。
原作を読んでもあまりこの作品のイメージが浮かばなかったが、この劇では3.11以降の状況を重ね合わせて、とても心に残るものでした。