ナイゲン【本ページは2012年版です。ご注意下さい】 公演情報 Aga-risk Entertainment「ナイゲン【本ページは2012年版です。ご注意下さい】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    とっても面白いぞ!! 
    Aga-risk Entertainmentの作品って、バスレがない印象だ。
    確実に笑わせてくれる。
    それも、ありがちな、太っているとかハゲているとかという、どーでもいいことに延々突っ込むだけや、テレビのバラエティ番組の焼き直しのようなもののような、さもしいヤツで笑いを取ろうとするものではない。
    そこが好きなのだ。

    ネタバレBOX

    で、今回の『ナイゲン』だが、とにかく面白い。
    アガリスクは見始めたのは最近だが、その中でも一番面白いと思う。

    今までの作品は、少々捻った感じがとても面白かったのだが、例えば、出会ってはいけない者が出会ってしまうようなシチュエーションのコメディだとすれば、観客が少し気を利かして見てあげるというような場面もあったかと思うのだが、今回はそれはない。
    ストレートで面白く、ストレートに面白い。

    もちろん、アガリスクらしい視点はある。
    3次元の視点だ。舞台というのは、額縁の絵を眺めるように2次元なものが多い(もちろん、実際には奥行きはあるのだが)。
    しかし、アガリスクの舞台には、奥行きがたっぷりある。例えば、家の中であれば、間取りのような舞台設定になっていたりする。この発想はいつも凄いと思っている。
    今回も、会議室全体を見せることを十分に意識した舞台となっていて、これがいつものアガリスクっぽいところでもある。

    それを感じさせるのは、開演前のシーンからだ。教室風に座席が並べてあるのを、開演前に生徒が出てきて会議風のロの字型に並べ替える。このシーンはなかなかいい。

    そして、「今まで会議を続けてきて、もう少しで会議終了になりますよ」という、「あれっ? 会議のコメディじゃないの?」と意表を突くスタートから舞台に飲み込まれていた。

    なんていうか、詭弁とも言える自分の主張で、相手を論破したと思い込んでしまったり、オトナのいいなりにはならないぞ、という正義感で声高になる感じとか、実に高校生っぽくて素敵だ。

    正直高校生の頃って、こんなに熱くなったことはなかった。もちろん文化祭なんかでも同じで、白けていたと思う。思うのだが、本人はそう思っていても、傍から観ればそれなりに鬱陶しくって、暑苦しかったのではないかと思ったりもするのだが。
    ・・・ここで、自分の高校生の頃の思い出とか、文化祭のこととか、一気に噴出して書き出しそうなのだが、それはやめておこう(笑)。

    そんな暑苦しくて、鬱陶しくて、観ていてセンチメンタルになってしまうような、キャラクターが次々出てきて、しかもその設定がわかりやすいので(単純ということではなく)、物語に入りやすい。
    ナイゲンの歴史を語る者が、自分たちが歴史になっていくことにこだわったり、なんていうのもいい。
    欲を言えば、代表者たちのクラスでのポジションなどがもう少し見えても面白かったかな、とも思ったり。

    さらに、会話の重ね方もとてもいいし、役者もいい味出している。
    トイレに行きたくなる男子が、(苛ついているのか、と思わせつつ)少し貧乏揺すりをし始めているという細かい演技や、2リットルのペットボトルを置いて飲んでいるという設定、そして、各登場人物のそれぞれの持ち物、飲んでいる飲み物の種類(コーラとかね・笑)、服装、動き方まで、きちんと隙なく設定されているところも、抜かりはない(それは、もちろん当然のことなのだが、ここまで徹底していると気持ちがいい)。

    ストーリーのリズムの刻み方や盛り上げ方、たたみ込ませるところや、ちょっとした間の取り方など、脚本でのテクニックに、さらに演出のうまさが光る。

    舞台内で使われているのと同じ、藁半紙(!)で作られた会議資料が観客にも配られるのもなかなかである。内容や書き方で、それぞれのクラスの意気込みと雰囲気を感じさせる。

    さらに受付(ビルの下にもいる)や案内の人たちが、スーツで、丁寧に応対する姿も好感度が高い。

    とまあ、いいことすくめであるが、ひとつだけ気になったのがラストだ。

    2人の3年生がこの会議について、少ししんみり話して「これがナイゲンだ」みたいなことを言うのだが、これって、うまいこと言い過ぎて、どうもしっくりこない。
    演劇のラストとしてはいいのかもしれないが、それまで、高校生っぽい台詞の応酬のあとだけに、大人の(都合の)台詞のような気がする。

    「高校生がわかったようなことを言う」というにしても、もっと高校生らしい言い方、台詞があったのではないかと思うのだ。
    例えば、うまいこと言ってドヤ顔するとか、・・・よくわからないけど。
    (いつも、したり顔で、そんなことを劇中ずっと言っていた男だったりしたら、それはそれで成立したのかもしれないけど・・・)
    最後のこのシーンは、大切だっただけに、やや普通すぎた印象だ。

    にしても、ナイゲンって3日間もかけて何を話すのだろう(笑)。
    それぞれの発表について説明し、それについて質疑応答で発表の可否について話合うのだと思うのだが、文化祭の実行委員とかが審査すればいいんじゃないかと思うから、イマイチ、ピンとこない。これも「生徒の自主性の尊重」っていう名の下の、・・・なのかな(笑)。

    あと、冨坂さんは、3年生の文化祭を経て芝居にはまったのだろうか?(笑)

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    2012/09/26 08:19

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