満足度★★
密室の男と女
香港で上演された作品の日本初演で、男女2人による謎めいた物語でした。
裸電球がゆっくりとともるとスーツ姿の男とドレス姿の女が銃を構えて向かい合っていて緊迫感のある会話をする1分程のシーンが、立ち位置やポーズを変えながら何度も繰り返される冒頭に続き、次第に会話が発展するものの、お互い自分が誰だかも分からず、銃がカクテル、スマートフォン、バナナに変わって行き、最後に2人の関係がうっすら浮かび上がったところで終わる物語でした。
暗転時にレコードかテープを逆回転する音と共に戦闘機の爆撃音が鳴っていたので、戦争と関わりのあるテーマが秘められていたのかもしれませんが、繋がりが分かりませんでした。
シーンがループしていることを登場人物が認識していたり、0に何を掛けても0であるというような台詞や、客席までが物語の世界の一部であることを示唆する台詞があったりと、メタな構造がありそうでいて、それが活かされていないのが残念に思いました。
オリジナル自体がそのようなテイストで、そのまま日本にアダプテーションしただけなのかもしれませんが、主に笑いを狙った箇所での日本向けに脚色した部分が、下世話になり過ぎているように感じました
物語としてはあまり楽しめなかったのですが、出演者2人の熱のある演技が素敵で魅力的でした。強気な中に可愛いらしさが垣間見える内田亜希子さんと、気弱そうでいてコミカルな雰囲気もある内田健介さんの対比が良かったです。
2012/09/14 09:14
今後もアジアの新しい作品を紹介して頂けることを期待しています。