満足度★★★
不思議な存在感
ドン・キホーテのキャラクターが登場する寓話的世界から終盤で次第に現実へ移行していく物語で、良く分からない部分が多く、カタルシスもないのに何か惹かれる魅力がありました。
物語とは関係ない動きや、ずっと静止したままといった独特の身体表現が特徴的で、リアリズムではない演技が不思議な雰囲気を醸し出していました。シーン毎の関連性があまりなく、断片的な印象がありつつも、最後のリアリティのある行為によって、うっすらと全体の繋がりが感じられる展開が興味深かったです。ところどころにチェーホフ作品を思わせる台詞がありました。絶滅動物についてのエピソードが印象に残りました。
ほぼ全員で踊るダンスシーンが2回あり、そのシーン以外では役者それぞれの身体性が出ていたのに、ダンスシーンで急に統一性のあるものを表現しようとしているように見えて、違和感を覚えました。
美術や衣装、映像、舞台上での役者達の立ち位置の配置等、ヴィンテージ感のあるビジュアル表現が格好良かったり可愛いかったりとお洒落な感じがあって素敵でした。音楽も洗練されていて良かったです。
水が重要なモチーフとなっていて、ビニールプール、飲み水、水槽等の使い方が良かったです。元倉庫だった会場で残響がかなりあり、幻想的な雰囲気がありました。
会場の構造上とても蒸し暑く、対策としてうちわを配布し上演中に飲み物を飲むのも可としていましたが、作品に集中出来ない環境だったのが残念でした。