満足度★★
殺陣が・・・舞台装置が・・・
あの原作を、今度は舞台化!!
悪行の限りを尽くす明石藩藩主・松平左兵衛督斉韶と
松平を守る53人の侍・対・13人の刺客の死闘を通して、封建的な「武家社会」を描く。
松平左兵衛督斉韶の悪行は、舞台向けに割と足早に描き、
ドラマの中心は、島田新左衛門・高橋克典と鬼頭半兵ヱ・坂口憲二、
そして奈緒・釈由美子の敵味方双方に分かれてしまった若者三人の
友情とその後の運命を重心においています。
やはり最大のイベントは、延々と続く13人対53人の死闘。
あの、実に「映画的な」死闘を、舞台でどう表現するのか…。
結局、舞台上に、橋と、移動する大きなコンテナのような箱を3台配置。
狭い道に追い込む戦法などを表現していましたが、何とも中途半端で、
罠となる宿場町の地理的条件を表現するのは、やはり難しかった。
また、開演間もないからか、殺陣において、刀の先が相手に刺さる様子が
上手く定まらなかったり、血糊が噴き出す様子が不自然すぎたりして、
なんともおさまりが悪かったのは残念。
同じくマキノノゾミ脚本の「浪人街」での血しぶきと、水びたしの
迫力満点だった殺陣とは比較にならない出来だったのが残念。
高橋克典は、爽やかに夫婦愛を演じ、
また、坂口憲二は、引き締まった面長の面様がまったくもって時代劇にぴったりで、
普段の顔の表情とは全く違っていて最初誰かわからなかった程。
この変わりようは見事。
釈由美子は舞台版「天才バカボン」に次ぐ舞台出演で、新左衛門の妻を好演。
原作にはない、三人の青春劇は印象に残りました。