下生しさらせ右に左に弥勒で上に 公演情報 リクウズルーム「下生しさらせ右に左に弥勒で上に」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    物語との距離感
    状況や設定もほとんど明らかにならないままに6人の役者達が噛み合っているのかどうか微妙なラインの会話を続け、その中に物語や演劇に対しての自己言及的な視点を含んだメタ構造が感じられる、知的好奇心をそそる作品でした。

    チラシに書いてある文章はあらすじというよりこの作品に対する前置きで、作品は泥団子についてのモノローグから始まり、試験を受けなかった女のエピソードや動物園を逃げ出したライオンの話が並行的に進み、しばしば突如にはずし気味な一発ギャグ的なシークエンスが挿入される構成となっていて、分かりそうで分からない匙加減が絶妙で、どんどん引き込まれていく感覚がありました。

    全く意味不明だった前作『ノマ』に比べると会話になっている部分が多く、ある意味分かりやすくなっていましたが、それでもやはり哲学書のような妙に回りくどい言い回しを使ったり、瞬時に全く異なる話題に飛んだりと単純には飲み込めないテクストで、一筋縄では行かない言葉の散乱っぷりに不思議な新鮮さがありました。その言葉から劇的なるものを表現しようともがく役者の姿が印象的で、会話の流れと関係なく崇高さや色っぽさや怖さ等、様々な情感が現れていたのが印象的でした。

    チープな材料を用いながらもかなりインパクトがある美術が素敵でしたが、作品全体との繋がりがあまり感じられなかったのが勿体なく思いました。

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    2012/07/28 09:30

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