「20世紀少年少女唱歌集」 公演情報 椿組「「20世紀少年少女唱歌集」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    テント芝居の面白さ
    後半からの感情のほとばしり。
    テント芝居ならではの、薄布一枚だけの現実との距離感。

    ネタバレBOX

    前半のつまらなさにガッカリしたが、後半からぐんぐん良くなっていく。

    前半の、笑えなくて、面白っぽいだろ? 的なやりとりに少々辟易した。
    たぶん、それは戯曲にあるのではなく、演出でプラスした部分ではないだろうか。
    例えば、何回かある役者の実年齢のことなど。おかまも頑張りすぎて逆に引いてしまったし。
    おかま役の辻親八さんは、何もしなくても存在感が十分なのだから、全シーンで力まなくてもいいのではないのだろうか。
    「ここぞ」というところだけを熱くしてくれるだけで、全体にピリっとした刺激を与えてくれるのではないかと思うのだ。
    それを演出で力ませすぎて、逆に平板にしてしまったのではないかと思うのだ。
    つまり、全般的に演出には、「?」という感覚が残ってしまった。

    しかし、休憩後の後半からは、感情が舞台の上から猛烈にほとばしり、俄然面白くなってくる。
    「熱さ」がある。
    テント芝居の良さを肌に感じる。

    ビールとかを片手に(私は呑まないけど)、入口で渡された団扇を扇ぎながら、時々蚊とも戦いながら観劇するというのは、涼しい劇場の椅子に畏まって観るのとは明らかに違う。
    ナマの芝居という以上に、テントという「場」の持つ、薄布一枚だけしか隔てられていない「現実」とのギャップ、距離感、その境界線が面白いのだ。
    テント芝居ならではの感覚だろう。
    それは、テントだから、「外にいる」ということの「音」や「暑さ」という物理的な意味合いだけではない面白さがある。体験しなくてはわからない面白さ。

    ラストは「テント芝居のお決まりの演出」だ。
    ほぼ、テント芝居のラストはこれになる、と言ってもいいだろう(この前観た、唐組『海星~ひとで』もそうだったし)。
    だけど「待ってました!」な感じはある。

    物語で見せていく、夢と現実の落差、現実との折り合いというのは、確かにそうなのだが、その部分においては、今ひとつ納得できなかった。
    現実を突き付ければいいのではないのだから。そんなことぐらい誰だってわかってると思う。
    だから、ラストの展開が来るのだろうと思うのだが、それが何か現実逃避な意味合いに響いてしまったのだ。これは受け取り側としての、私の問題であるかもしれないのだが。

    この舞台、焼肉ドラゴンと共通点が多すぎて、それと比べてしまうと、ガチャガチャしすぎ。ただし、それを「(生きていることの)情熱」ともとらえることはできるのだが。でもピンポイントで違う顔も見せてほしかった。全体的に雑然のままなので。テント芝居だから、外の音が聞こえるから、ということではなく、そうだからこそ、そうではない部分がほしいと思ったのだ。

    ブレーク的な要素で出て来るのと思うのだが、しつこいわりに、3人のサラリーマンの位置づけがわかりにくい。ちょっともったいない気がした。

    それと、懐かしの歌の数々が聞けたが、その「歌」がもっと内容に絡んでくるかと思った。タイトルにもあるのだから。

    役者としては、中心となる四姉妹(水野あやさん、福島まりこさん、井上カオリさん、李峰仙さん)がとてもよかった。うまい。

    終演後、「毎日打ち上げ」ってのは面白いなー。

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    2012/07/27 07:05

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