現在に『スカートをはいたネロ』を試演する 公演情報 中野成樹+フランケンズ「現在に『スカートをはいたネロ』を試演する」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    ナカフラならではの人形劇
    元々人形劇での上演を想定して書かれた戯曲をそのまま人形劇として演出していましたが、次第に人形劇のフォーマットから外れて行く表現が用いられていて楽しめました。

    トルコと戦争をしている時代のロシアを舞台に、女帝カザリン2世が民衆を虐げる姿を描いた作品で、プロレタリアート的な視点で書かれた作品だと思うのですが、最後に民衆が革命を起こしたりはせずに、絶望して死んで行くという暗い終わり方だったのが印象に残りました。

    正直な所、戯曲には魅力を感じませんでしたが、工夫を凝らした演出によって、興味を惹く公演になっていました。
    冒頭はホールの中央に置かれた金屏風が載せられた台の上に高さ10cmから30cm程度の人形を置いて、ほとんど人形を動かさず台の周りに座る役者達による台詞の朗読だけが続き、紙芝居みたいな状態だったのが、次第に役者達が人形を持って動くようになり、台を奥に持って行き、終盤には人形を用いずに役者がそのまま役を演じ、踊るように動き回るという変化が面白かったです。
    途中では戯曲にある台詞と現在の視点から語られる台詞が同時進行するシーンもあり、ユーモラスな雰囲気が楽しかったです。

    檻に入れられるシーンではステージの段差面にある木の縦格子を外して床下に人形を閉じ込めたり、最後のシーンでは天井に吊るされた既存の照明を手の届く所まで下げてきたりと、会場の特徴を取り込んだ演出が軽やかで素敵でした。

    「試演」と題されている通り、演出も演技も荒削りで洗練されていない部分がありましたが、人形劇に対しての独特のアプローチが興味深かったです。

    0

    2012/07/17 21:22

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大